経済評論家の池田信夫氏が二つのエントリー「独裁の合理性」と「神話の構造とマスキン単調性」で、例外的状況はあるものの理論的に独裁が合理的だと主張している。合理的な独裁者が意思決定を行えば、それは一貫性があるので合理的になると言う出落ちな話なのはともかく、参照されている定理への理解がおかしいことになっている。以前の氏のエントリーよりはアローの不可能性定理への理解が進んだようだ*1が細部に問題があるし、ギバードの一般可能性定理は教科書的な説明にも目を通していないようだ。 候補者3名を選ぶのに「多数決で決めると、勝者が決まらない」は、直感的におかしい事が分かるであろう。候補者3名を三つを同時に投票にかければ、得票数が同じでない限りは勝者は定まる。アローの不可能性定理の解釈に失敗したようだ。 アローの不可能性定理は3つ以上の選択肢があるときに、そのうち2つの選択肢だけの多数決を繰り返すと、その結果は