ブックマーク / courrier.jp (696)

  • 「ペイウォール」が生んだ分断─民主主義は「有料記事の壁」の裏で死ぬのか | 元米国国務次官の切実な訴え

    「情報は無料ではないし、無料だったためしもない」──だが、インターネットの無料ゾーンに溢れかえる、出所不明で信頼性の低い情報を前に、「2024年の大統領選挙期間中、選挙関連報道を無償化すべきだ」と、米「タイム」誌の元編集長で、オバマ政権下で国務次官を務めたリチャード・ステンゲルは米「アトランティック」誌への寄稿で訴える。 うろ覚えのニュースや、簡単には見つからない事実、ある特定の記事を探そうとパソコンの画面に向かい、やっとお目当てのページに辿り着いた直後、画面に表示された──「半年間1ドル」、「1年目は40%オフ」、「特別オファー」、「すでに購読済みですか?」の文字──何度こんなことがあっただろう。 このとき決まって直面するのが、「カネを払うか、払わないか」というジレンマだ(当誌「アトランティック」で記事を読もうとして、同じジレンマに直面した人もきっとおられるだろう)。これは思っているほ

    「ペイウォール」が生んだ分断─民主主義は「有料記事の壁」の裏で死ぬのか | 元米国国務次官の切実な訴え
  • 韓国経済の奇跡は終わったか─過去の成長モデルに固執して改革を怠った国 | 英経済紙が報じる「韓国の失速とその原因」

    かつて「漢江の奇跡」とまで言われた韓国経済の失速が著しい。製造業への依存や財閥支配といった過去の成長モデルから脱却できないからだと、英経済紙「フィナンシャル・タイムズ」が報じている。そんななか、韓国政府はAI特需を見込んでソウル郊外に巨大な半導体集積地を築こうとしてるが……。 世界最大規模の半導体クラスター ソウルから南に40キロ離れた龍仁(ヨンイン)市郊外では、韓国の大統領が世界的な「半導体戦争」と呼ぶ状況に備えて、無数の掘削機が準備を進めている。 掘削機は1日に4万立方メートルもの土砂を運びだし、山を真っ二つに切り崩しながら、新たな半導体クラスター(集積地)の土台を築いている。その一角には、世界最大規模の3階建て製造工場も建設される予定だ。 半導体メーカーのSKハイニックスが910億ドル(約14兆円)を投じて建設したこの1000エーカーの製造拠点は、サムスン電子による300兆ウォン(約

    韓国経済の奇跡は終わったか─過去の成長モデルに固執して改革を怠った国 | 英経済紙が報じる「韓国の失速とその原因」
  • 気鋭の人類学者、項飆「中国の若者はかなり悲観的になっている」 | 英国オックスフォード大元教授が語る、不景気下の中国の若者たちの思想とは

    1972年浙江省温州市生まれで、英国オックスフォード大学の社会人類学の元教授で、現在ドイツのマックス・プランク社会人類学研究所員である項飆(シャン・ビャオ)。気鋭の人類学者である彼が、不景気のなかにある現代の中国の若者たちが何を考えているのか、また、今後の中国にどのような影響を与えるのかを語る。 ──中国の若者は景気後退にどのような影響を受けているのでしょうか? 若者たちは高齢者に比べてはるかに大きな影響を受けています。高齢者たちは過去40年間の高度成長の恩恵を受け、貯蓄や不動産を持っているような人々です。 一方、いまの新卒の若者たちは、将来に大きな期待を持って育った世代です。彼らにとって現実とのギャップは非常に厳しい。仕事もキャリアアップの機会も少ない。また、就職できたとしても、IT業界のように、企業は激しい競争を繰り広げているため、条件がより厳しくなっているのです。 もちろん、社会集団

    気鋭の人類学者、項飆「中国の若者はかなり悲観的になっている」 | 英国オックスフォード大元教授が語る、不景気下の中国の若者たちの思想とは
  • 仏紙が問う「なぜ日本の建築家は、自国において亡命状態にあるのか」 | 日本は建築の国なのに…

    フランスでは、日人建築家が高い人気を誇り、数々のコンペティションを勝ち取っている。だが、日の大規模プロジェクトでは、彼らの活躍の幅は意外にも狭く、個人や海外からの発注に逃げ場を見つけているという。そのことに気づいた仏紙記者が、日の建築事情を深掘りする。 日は「建築の国」なのだろうか。最近のニュースからすると、そう言えそうだ。2024年3月、日人建築家の山理顕がこの分野の最高の賞であるプリツカー賞を受賞した。日でこの栄誉ある賞を受賞したのは山が9人目で、これによって日は建築分野を率いる存在になった。世界中が口々に日のスター建築家を称えている。 特にフランスでは、日人建築家の人気は高く、権威あるコンペティションをいくつも勝ち取っていて、象徴的な建造物を多く生み出している。たとえば妹島和世と西沢立衛による建築家ユニット、SANAAは「ルーヴル美術館ランス別館」(ついでに言え

    仏紙が問う「なぜ日本の建築家は、自国において亡命状態にあるのか」 | 日本は建築の国なのに…
  • 【調査報道】イスラエル軍の「殺害リスト」は人工知能が生成したものだった | すべてを変えた「人工知能による自動化」

    2021年、『人間とマシンのチーム:私たちの世界に革命をもたらす人間と人工知能のシナジーをいかに生み出すか』(未邦訳)と題する英語が刊行された。著者はY・S准将というペンネームだが、イスラエルのエリートの諜報機関、8200部隊を率いる人物であることが確認されている。 著書で彼は、戦火のなかで軍事攻撃の「標的」を何千という規模でマークするため、大量のデータをすばやく処理する特別なマシンの開発を提唱した。そのようなテクノロジーがあれば、「新たな標的の割り出しと、それを承認する意思決定の両方における人間のボトルネック」を解消できるだろうと、彼は書いている。 そのようなマシンは、実際に存在すると判明している。イスラエルとパレスチナ合同の独立系メディア「+972マガジン」とイスラエルの独立系ニュースメデイア「ローカル・コール」の調査によって、イスラエル軍が「ラベンダー」という人工知能をベースにし

    【調査報道】イスラエル軍の「殺害リスト」は人工知能が生成したものだった | すべてを変えた「人工知能による自動化」
  • 米国でトヨタの水素自動車「ミライ」を手放す人が急増か 集団訴訟に発展 | 「ノズルが凍りつく!」「ステーションに水素がない!」

    EV市場が冷え込んだ2023年、トヨタはハイブリッド車の売り上げを伸ばし、独り勝ち状態となった。 そして2024年5月には北米で水素事業部を設立し、「未来の自動車」として普及を目指してきた水素自動車への投資も加速させている。 だが、ここにきて水素自動車「ミライ」に暗雲が立ち込めていると、米オンラインメディア「インサイドEVs」は報じる。一部のミライ所有者たちはトヨタに車両の買い戻しを求め、訴訟を起こすまでに至っている。

    米国でトヨタの水素自動車「ミライ」を手放す人が急増か 集団訴訟に発展 | 「ノズルが凍りつく!」「ステーションに水素がない!」
  • 英紙が見た「マーティ・フリードマンのロック界で最も奇妙な人生」 | メガデスから日本のお茶の間へ

    ヘヴィメタル・バンド、メガデスの元ギタリストとして日でもお馴染みのマーティ・フリードマンに、英紙「ガーディアン」がインタビュー。その唯一無二のキャリアと、いまだに魅了され続けているという日への想いを語った。 メガデスのギタリストが、なぜ日の昼間のテレビ番組で化粧品の品評をするに至ったのか、というのは、ヘヴィメタル史上、最も困った問いと言っていいだろう。 「チャレンジするのに夢中になったんですよ。当にこれが自分にできるんだろうか、ということに」とマーティ・フリードマンは笑う。 「その最難関が、ある番組の審査員でした。女の子たちが登場して、念入りにメイクをする番組なんです。この世のなかに、自分にとってこれほどどうでもいいことはないのに。『ほう、このファンデーションにこのチーク、あの子によく似合うじゃない!』なんてね」 フリードマンがメガデスに参加したのは1990年のことだ。彼はこのヘヴ

    英紙が見た「マーティ・フリードマンのロック界で最も奇妙な人生」 | メガデスから日本のお茶の間へ
  • 哲学者スラヴォイ・ジジェク「セックスのファストフード化が加速している」 | 「抑圧」の反対は「鬱」である

    スラヴォイ・ジジェク(75)にインタビューするのは、筆舌に尽くしがたい体験である。哲学者、精神分析家、文化理論家、政治活動家、ロンドン大学バークベック人文学研究所インターナショナル・ディレクター、そしてスロベニア共和国の元大統領候補である彼との会話では、一つのテーマから別のテーマへ次々と飛んでいく。だから、対談者はなんとかして置いてけぼりにされないようにしなければならない。ジジェクは、ユニークで予想がつかないのだ。 「剰余享楽」とは ──あなたは『為すところを知らざればなり』(※原題副題は「政治的要因としての享楽」)、そして『快楽の転移』をすでに書いています。そして今回、『剰余享楽』を発表しました。なぜ、このテーマに関心があるのですか? 戦争や人種差別、そのほかの多くの恐怖をめぐって何が起きているかを理解するためには、まさに享楽に注意を払わなければなりません。私は、享楽を「喜び」としてのみ

    哲学者スラヴォイ・ジジェク「セックスのファストフード化が加速している」 | 「抑圧」の反対は「鬱」である
  • 『三体』作者の劉慈欣に聞く「自身のSFのシンプルなおもしろさ」 | SFを通して描く「人間の本性」

    人類を「宇宙を理解したサル」と定義してみせたのは、行動生物学者のスティーブ・スチュワート-ウィリアムズだが、中国SF作家の劉慈欣の小説を読むと、まさにその「宇宙を理解したサル」たちの世界を存分に味わえる。 『三体』三部作が世界的にヒットしたいま、劉慈欣は世界で最も高名な作家の一人となった。ネットフリックスでは、『ゲーム・オブ・スローンズ』の製作陣が手掛けたドラマ版『三体』も視聴できる。劉の短編小説『流浪地球』を原作とする中国映画『流転の地球』が興行的に大成功を収めたことも記憶に新しい。 劉の作品に出てくる人類は、ありとあらゆる可能性に満ちている一方で、「旧石器時代から変わらない感情」、「中世に作られた社会制度」、「神のようなテクノロジー」という三つの特徴を持つ存在として描かれる。 いまでこそバラク・オバマ、イーロン・マスク、マーク・ザッカーバーグから絶賛を受けるSF作家となった劉慈欣だが

    『三体』作者の劉慈欣に聞く「自身のSFのシンプルなおもしろさ」 | SFを通して描く「人間の本性」
  • 米紙が報じる「日本の“軍隊式教育”がもたらす社会秩序とその代償」 | ドキュメンタリー映画監督・山崎エマに聞く

    人の母と英国人の父を持つ山崎エマは、程よい距離感で日社会を見つめ、ドキュメンタリー映画として記録してきた。彼女がカメラを向けるのは、教室の掃除に励む小学生や血のにじむような練習に耐える高校球児といった教育現場だ。 そうした日特有の厳しいしつけや伝統が社会に秩序をもたらす一方、そこには代償もあることにスポットライトを当てる山崎に、米紙「ニューヨーク・タイムズ」が話を聞いた。 人間ピラミッドの思い出 ドキュメンタリー映画監督の山崎エマ(34)には幼少期の忘れられない経験がある。自分は膝にひどい擦り傷を負い、同級生は骨折する羽目になった人間ピラミッドだ。 大阪の小学校で6年生のころ、毎年恒例の運動会で組み体操を披露するため、同級生らと何週間も前から7段の人間ピラミッドをつくる練習をした。小さな体から血も涙も流れたが、番で成功させた達成感は計り知れず、それは「私が粘り強い努力家だと自負で

    米紙が報じる「日本の“軍隊式教育”がもたらす社会秩序とその代償」 | ドキュメンタリー映画監督・山崎エマに聞く
  • ヨハン・ノルベリ「社会正義の実現には、もっと多くの資本主義が必要だ」 | 長期的に見れば「成長こそがすべて」

    ヨハン・ノルベリ(50)は根っからの楽観主義者で、その主張を裏付ける論拠を持ち合わせている。古典的自由主義とグローバル化の熱烈な擁護者であるこの歴史学者は、ある意味、心理学者のスティーブン・ピンカーの系譜に連なり、「私たちは最善の世界に生きている」と主張する。 スウェーデン人のノルベリは、多くの人にとってシステムを推進する原動力である「利益の追求」を、「俗悪」なものだと考えている。彼が関心を寄せているのは、もっと「美しい」もの、つまり、より良い世界を創ることなのだ。 米ワシントンにあるシンクタンク「ケイトー研究所」のシニアフェローを務めるノルベリは、『資主義宣言』(未邦訳)という挑発的なタイトルをつけた新著で、「読者の注意を文化戦争から逸らし、私たちの未来にとって重要な問題へと引き戻す」ことを目指している。スペイン紙「エル・パイス」が彼にインタビューした。 ──あなたは、社会正義の実現に

    ヨハン・ノルベリ「社会正義の実現には、もっと多くの資本主義が必要だ」 | 長期的に見れば「成長こそがすべて」
  • 「年を取ったときに安心だから」 日本の不動産を買い漁る中国の富裕層たち | 名前を変え、国籍も取得し…

    クーリエ・ジャポンのプレミアム会員になると、「ウォール・ストリート・ジャーナル」のサイトの記事(日・英・中 3言語)もご覧いただけます。詳しくはこちら。 金属商社を経営する中国出身のハヤシ・トモさん(45)は昨年、東京に移住した。すぐさま日名を名乗り、湾岸エリアの高級マンションを約1億円で購入した。3月には家族を呼び寄せ、息子2人は日の小学校に通い始めた。 ハヤシさんは東京の高級不動産ブームをけん引し、この都市のあり方を変えつつある多くの裕福な中国人の一人だ。 不動産業者や中国富裕層の国外脱出の動向を注視する人々によると、中国の専制主義的な政治体制への不満──新型コロナウイルス規制による唐突なロックダウン(都市封鎖)の最中に高まり、その後も膨らむ一方だ──が国外流出に拍車をかけている。中国の景気減速と株式市場の不振も中国を出る動機になっているという。 ハヤシさんは東京への移住は大変だ

    「年を取ったときに安心だから」 日本の不動産を買い漁る中国の富裕層たち | 名前を変え、国籍も取得し…
  • 「農業界のスタンフォード大学」が描くオーガニックじゃない「未来の農業」 | 有機農業だけでやっていくのは不可能

    農業分野で世界のトップに立つオランダのワーゲニンゲン大学の学長は「農業をこのままの体制で続けることは不可能」と語ると同時に、すべてを有機農業に移行すればいいわけでもないと主張する。それではどうしたら、持続可能な農業を営むことができるのか。「農業界のスタンフォード大学」の取り組みを、フランス誌が取材した。 「環境や生物多様性を尊重しつつ、世界人口に対応する糧を確保することは可能です」 すがすがしいほどに楽観的な意見だが、ワーゲニンゲン大学の学長ショーケ・ヘイモヴァーラの言葉なのだから、重みがある。ワーゲニンゲンはアムステルダムから南東に90キロのところにある小さな自治体だ。同大学は、あらゆる世界ランクのトップに君臨する農業界の権威として、この分野のスタンフォードとも謳われる。 オランダ政府の「シンクタンク」とも目され、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)からも諮問を受けているうえ、充実

    「農業界のスタンフォード大学」が描くオーガニックじゃない「未来の農業」 | 有機農業だけでやっていくのは不可能
  • 「前世の記憶を持つ2200人の子供たち」を研究してわかったこと | 子供が語る「前世」に親たちも困惑

    アイジャはそれまでもたくさんのイマジナリーフレンドを作ってきたが、彼女が2歳になる頃に現れた「ニナ」は、他とは明らかに違っていた。 アイジャによるニナの説明はつねに一貫していた。アイジャいわく、ニナは悪い人たちが自分を捕まえにくること、そして糧が足りなくなることを恐れているという。ときにはアイジャ自身がニナとして話すこともあった。 母親のマリーがフードプロセッサーを使っていたときのことだ。アイジャはその音に怯え、「戦車をここから出して!」と叫んだ。なぜ娘が「戦車」という単語を知っているのか、マリーは不思議に思った。 またあるときには、アイジャはこう言った。「ニナの腕には数字が書かれていて、それがニナを悲しくさせるの」。そしてその数字が書かれていたと思われる場所を指差しながら、「ニナは家族が恋しいの。ニナは家族と引き離されちゃったのよ」と言った。 ホロコーストのことなど何も知らないはずの娘

    「前世の記憶を持つ2200人の子供たち」を研究してわかったこと | 子供が語る「前世」に親たちも困惑
  • 条件は完璧にそろっているのに「EVが普及しない」不可解な国・日本 | 米メディアが原因を分析

    には、電気自動車(EV)が普及するための条件が完璧にそろっているという。だがテスラ社のイーロン・マスクも日市場には苦戦していると認める通り、普及は遅々として進んでいない。その原因はどこにあるのか。同じく普及が停滞する米韓の状況と合わせ、米経済メディア「ブルームバーグ」が分析した。 日はEV普及の「ラガード」 日は電気自動車(EV)の先駆者となるための、あらゆる条件を備えている。世界平均を上回る所得、堅調な自動車産業、高い新車購入率、技術を称揚する文化などだ。 しかしながら、2023年の日におけるEVの新車販売比率(新車販売台数に占める特定の自動車の割合)はわずか1.8%だった。 2024年3月、ブルームバーグの気候変動ニュースメディア「ブルームバーグ・グリーン」は、完全電気自動車(BEV)の普及拡大が見込まれる31の国を調査した結果を発表した。するとそのなかで、普及率が思いのほ

    条件は完璧にそろっているのに「EVが普及しない」不可解な国・日本 | 米メディアが原因を分析
  • 米大学教授が解説する「日本の『わび・さび』の美学」 | なぜ外国人はこの概念に魅了されるのか

    「わび・さび」はいまや海外でも“Wabi-Sabi”として知られているが、この日独特の概念を定義するのは日人でも難しいだろう。ワシントン大学で日語や日文学を教えるポール・アトキンス教授が、「わび・さび」が日国外に広まった経緯と、その美学に外国人が惹かれる理由を解説する。 日に逆輸入された 先日ニューヨークを訪れた際、マンハッタンにある日の書店に立ち寄った。日に関する英語が並ぶなか、「わび・さび」専用の棚があり、『わび・さびの恋愛術』『わび・さび道』『芸術家、デザイナー、詩人、哲学者のためのわび・さび講座』などのタイトルが陳列されていた。 いったい「わび・さび」とは何なのか、そしてなぜ「寿司」や「空手」といったジャンルと並び、独自のコーナーが設けられるほどの扱いを受けているのか? 「わび・さび」は、一般的には伝統的な日の美意識と説明されている。「傷がある」または「未完成

    米大学教授が解説する「日本の『わび・さび』の美学」 | なぜ外国人はこの概念に魅了されるのか
  • フランスが漫画大国になった歴史を「仏紙の40年の報道」から読み解く | フランスに根付くまでの40年間

    フランスでも非常に人気が高い日のマンガ。その評価は初めから高かったわけではなく、長年かけて徐々に定着していったという。日のマンガはフランス社会でどう受け止められてきたのかを、仏高級紙「ル・モンド」上での40年以上の報道から読み解いていく。 フランス中が悲しんだ鳥山明の死 とうとう孫悟空が孤児になってしまった……。史上もっとも有名なマンガのひとつで、世界で2億6000万部を売り上げた『ドラゴンボール』の作者、鳥山明が68歳で亡くなった。3月1日のことだったが、遺族がそれを公表したのは1週間後だった。 こうして日から世界にマンガを広げた主要人物の一人がいなくなってしまった。仏紙「ル・モンド」にウィリアム・オーデュロー記者はこう記した。 「2013年にアングレーム国際漫画祭で特別賞を受賞。2019年にはフランスの芸術文化勲章『シュバリエ』を受章した。地方に暮らすことを好んだマンガ家の鳥山明

    フランスが漫画大国になった歴史を「仏紙の40年の報道」から読み解く | フランスに根付くまでの40年間
  • 英誌が見た「失われた数十年」から脱却する日本と、“日本化”する米国 | 中国に代わる「アジアのリーダー」に

    数十年ぶりの株価高騰に円安と、日経済が激動の時代を迎えるなか、日米関係はどう変わるのか。英経済誌「エコノミスト」は「失われた数十年」から脱却しつつある日に対し、米国は新たな役割を期待していると指摘する。 「失われた数十年」は解消に向かっている 1982年、戦後の日米関係において最も肝を冷やす事件のひとつがデトロイトで起こった。 自動車工場に勤務していた2人の白人男性が、中国系米国人を日人だと思い込んで撲殺したのだ。 加害者2人は有罪になったが、3年間の保護観察処分と約3000ドルの罰金の支払いを命じられただけだった。この度を越して寛大な判決は、米国政府の上層部にまで蔓延する時代の雰囲気を反映している。 80年代に日米貿易摩擦が激化すると、経済大国の地位を日に奪われることを危惧した米国は強硬な対応をとった。貿易規制を敷いて日の国内市場をこじ開け、円高ドル安を推進した。90年代に日

    英誌が見た「失われた数十年」から脱却する日本と、“日本化”する米国 | 中国に代わる「アジアのリーダー」に
  • ロックバンド「はっぴいえんど」は、日本語ロックの魅力を世界に伝えた | 翻訳は元の意味を変えてしまう

    「はっぴいえんど」は、日のロック界に大きな影響を及ぼしたバンドのひとつだ。英語で歌うべきものとされていたジャンルで、母国語である日語の歌詞を作った彼らに、世界的なロックバンド「ビートルズ」を生んだ英国の「ガーディアン」紙が取材した。 「歌詞を翻訳すれば、意味が変わってしまう」 1969年、松隆と細野晴臣がロックバンドをはじめようとしたとき、二人はある選択を迫られた──当時のロックの共通語である英語で歌うか、日語で歌うか。議論の末に二人は母語を選択し、そうすることで、日音楽の流れを完全に変えたのだった。 松、細野、そして鈴木茂と大瀧詠一によって結成されたバンド「はっぴいえんど」は、西洋風のフォークロックと日語のボーカルを融合させた。この決断は、近年ネット上で人気がある80年代のシティ・ポップ・ファンクから、現代のJポップに至るまで、日のあらゆる音楽に影響を与えている。 「僕

    ロックバンド「はっぴいえんど」は、日本語ロックの魅力を世界に伝えた | 翻訳は元の意味を変えてしまう
  • ユヴァル・ノア・ハラリ「1945年の日本といまのイスラエルの共通点」 | ガザの惨状を信じないイスラエル人

    エコーチェンバー 10月7日以降、イスラエルがハマスと戦い、打ち負かすことが不可欠となった。しかし、それは罪のない多くの市民を殺し、市民を飢えさせずとも達成することは可能だった。イスラエル国防軍は戦場で多くの勝利を収め、ガザのほとんどの地域とそこに通じるルートを掌握した。 戦闘のさなかに、民間人と戦闘員を切り離すことが困難な場合はあるだろう。しかし、なぜイスラエルはガザに大量の援助物資を入れることを妨げたのだろうか。子供たちが飢餓に苦しみ、絶望した何千人もが援助トラックの襲撃を招いたのは、ガザ内での非効率的な分配、ハマスの工作員による窃盗のせいだという意見もある。 仮にそのような問題が現実だったとしても、イスラエルは大量の糧や医薬品、その他の物資をガザに送り込めたはずだ。不手際や窃盗があったとしても、飢餓を招くような規模にはならなかったはずだ。結局のところ、料を窃盗しても、それを他の住

    ユヴァル・ノア・ハラリ「1945年の日本といまのイスラエルの共通点」 | ガザの惨状を信じないイスラエル人