2011年08月15日13:44 カテゴリ本経済 新しいマクロ経済学 きのうの記事のバナナの話が好評だったので、インフレやデフレがどうやって起こるかについてのやさしい教科書を紹介しておこう。学部で教える「どマクロ」と大学院で教える動学マクロはまったく違う理論で、後者をやさしく解説した学部レベルの教科書は、私の知っているかぎりマンキューしかないが、本書はそれよりやさしく(差分方程式も使わないで)動学マクロの考え方を紹介したものだ。 著者の専門は上巻の成長理論だが、下巻(未刊)でも潜在成長率の概念を強調している。これは資本・労働と生産性で決まるリアルな概念(マンキューのいう自然水準)で、金融政策で潜在成長率を上げることはできない。現在の日本の潜在成長率はほぼゼロと推定されており、この上限を上げないと不況もデフレも脱却できないのだ。 短期の理論でも従来のIS-LMではなく、中央銀行が名目金利を調