ブックマーク / researchmap.jp (14)

  • 【ご報告】馬場紀寿「研究倫理上の問題に関する申入書」について

    拙著『ブッダという男』の「あとがき」に端を発し、馬場紀寿先生(東京大学教授)が、2024年2月1日付けで、拙論(清水[2016])に研究倫理上の問題があるとして佛教大学仏教学会に申入書を送付して、当方に「追補」を請求していました(申入書は馬場先生のresearchmap上で公開)。 その後、佛教大学仏教学会において一月弱に渡り対応に関する協議が行われ、2024年2月29日付けの書面にて、当方に、馬場先生の「追補」の請求を差し置いたうえで、『佛教大学仏教学会紀要』の紙面上で馬場先生に回答として反論するスペースを与えるという連絡がありました。 つきまして、馬場先生が公開された「研究不正、もしくは研究倫理に悖る行為」の告発については、既に当方がresearchmap上で公開しています「反論」が佛教大学に受け入れられ、双方から聴取して不正の有無を調査したり、第三者委員会を設立したりするまでもなく、

  • 私が学生に「大規模災害のときにSNSで何もするな」と伝えた3つの理由

    昨朝(2018/06/18),大阪で震度6弱の地震があり,朝からテレビSNSで様々な情報が流れていました。それに伴って各地の災害状況,インフラの状況,驚いたことなど様々な情報が拡散(リツイート)されています。情報の拡散の背景には「自分にもできることは」と考えて,とにかく役に立つ情報を流して(広げて)いこうという気持ちがあるんだろうと思います。たしかにこういうとき,当然のことながらいろいろな人がいろいろな仕事をして復旧や救援などにあたっていますし,私でもこういうときにどうしたらいいか考えることはあります。ですが,とりあえずの結論として,当事者性の低い場合が多いであろう学生には「SNSでは何もするな」と伝えました。以下その理由です。 ちなみに私は大学教員なので直接(口頭で)伝えたのは学生ですが,もっと対象を広げてもほぼ同じことだと思います。 理由1:いつも正しい情報を適切なタイミングで流せる

  • 2023年オランダ総選挙について

    2023年11月22日にオランダで総選挙が実施された。7月7日に第4次リュテ政権が崩壊し、早期の解散総選挙となった。このブログを書いている時点で開票は終了していない。結果はオランダ放送協会の以下のサイトで閲覧できる。 https://app.nos.nl/nieuws/tk2023/ この総選挙で着目すべき点は以下の5点である。 1.13年続いたリュテ政権の終焉 2.新党の成立と浮動票の増加 3.凋落傾向にあった左派政党が合併し、持ち直したこと 4.右翼ポピュリスト政党PVVが最大政党となったこと 5.政党間関係のドラスティックな転換が予想されること 詳細は以下の通り。 1.リュテ政権 ~解散総選挙の背景 マルク・リュテは2010年から13年間4次にわたり首相を務めてきた、自由民主人民党(VVD)の首相である。今回の政権崩壊をうけて、政界引退を表明している。 リュテは政党間の調整に長けてお

  • 呉座勇一さんの訴訟と和解についての一私見

    1.呉座さんの訴訟と和解の概要およびその意味 すでに周知の事実ですが、さる2023年9月末、2021年3月に発覚した呉座勇一さんのネット上の差別的な数多の暴言をめぐる騒動と、そこから派生した訴訟について、続けざまに大きな進展というか結末が示されました。国際日文化研究センターで内定していた准教授への昇任を撤回された呉座さんが、日文研の上位機関である人間文化研究機構に対し起こした地位確認の訴訟と、呉座さんの一件をめぐって出されたオープンレター「女性差別的な文化を脱するために」が、呉座さんの名誉を毀損したものであるという訴訟が、相次いで和解したのです。 その結果は、呉座さんは助教として日文研に復帰(再度准教授承認が内定しなおしたのかどうかは分かりません)し、名誉毀損訴訟は呉座さんの側が訴えを取り下げ、オープンレターが呉座さんの名誉を傷つけるものではないとの同意をして、和解したものでした。ただし

  • 大学の授業でチャットGPTをどう扱うかについての覚え書き

    1 はじめに 前回このブログを使ったのは3年前のちょうどこの時期のようです。コロナ禍で少し遅れてオンラインで授業が始まって、授業準備をしているときにコロナ関連の情報をまとめておこうと思って書いた記事でした。で、その後3年がたち、コロナ禍は一応区切りを迎えているわけですが、新学期の授業を始めるにあたっていろいろ考えなければならないという意味ではそのときと同じような状況が(もちろんいろんな意味で位置づけは違うのですが)再び…。 ということで、チャットGPTの話です。すでによく知られているようにこのアプリが登場したのは昨年11月、時期的には2022年度後期にすでに広まっていた可能性はあったし、実際アメリカの大学では一足早くレポートでの利用なんかが問題になったりしましたが、実質的にはこの4月から始まる2023年度が、日の大学にとってチャットGPT元年ということになるのだと思います。 具体的な話に

  • 大貫智子「韓国文化を楽しむなら加害の歴史に向き合うべきか」(毎日新聞)の記事削除について

    一橋大学大学院社会学研究科准教授 加藤圭木 一橋大学名誉教授 吉田裕 はじめに 2023年1月15日(日)に毎日新聞「政治プレミア」に有料記事として、政治部記者の大貫智子氏のコラム「韓国文化を楽しむなら加害の歴史に向き合うべきか」(現在は削除。以下、「大貫コラム」とします)が掲載されました。 「大貫コラム」は、加藤圭木監修、一橋大学社会学部加藤圭木ゼミナール編『「日韓」のモヤモヤと大学生のわたし』(大月書店、2021年、以下ゼミ書籍とします)、および同ゼミの学部生が2022年11月19日(土)に開催した学園祭のイベント「モヤモヤのその先へ〜みんなで話し合う「日韓」のモヤモヤ」(於一橋大学、オンライン配信併用、以下学園祭イベントとします)をとりあげたものです。 以下で述べるように「大貫コラム」は加藤ゼミ側への取材をしていない上に内容面でも不適切な点がありましたので、毎日新聞社に対してその旨

  • 與那覇潤氏の呉座勇一さんに関する記事への反駁(1)

    さる3月に、日中世史の研究者として名高い呉座勇一さんが、ツイッターの鍵アカウントでさまざまな差別や誹謗中傷を行っていたことが明るみに出、問題となりました。この件では、単に呉座さん個人がひどい発言をしていたという問題ではなく、研究者を含む多数のアカウントが、いっしょに差別やハラスメントを、いわば「遊び」で行っていたことが重大視され、日歴史学協会が声明を出し、また研究者有志がオープンレターを出すという事態になりました。差別や誹謗中傷がまかり通る学界では、とても今後の発展は望めませんし、実際に攻撃の被害を受けた人を救うためにも、必要なことであったと私は考えます。またこれらの声明やオープンレターに賛同された方がたの中には、過去にハラスメントの被害を受けられたという方もおられるようで、そういった方がたの危機感は一層深いものだったと思います。 しかし遺憾ながら、少なからぬ「ネット論客」や、それに同

  • 「Yahoo!ニュース個人」オーサー卒業のお知らせ+全記事アーカイブへのリンク(2018年11月21日増補)

    Yahoo!ニュース個人」オーサー卒業のお知らせ+全記事アーカイブへのリンク(2018年11月21日増補) 2014年年初、Yahoo!ニュース個人編集部の方から「オーサーとなって記事を執筆してほしい」というご依頼を受け、オーサーとなり、2014年から2018年までの間に200以上の記事を執筆してきました。 2018年9月末、10月末でのオーサー契約終了を言い渡されました。理由は不明ですが、約款によれば理由は不要です。 現在は、この「10月末」という期限の設定とその妥当性をめぐってやりとりの最中です。2018年6月、「書き間違い」を理由として、自動更新の時期が12月末から10月末に一方的に変更され、私のオーサー契約終了はこの変更に伴うものでした。「なんのために、そこまでして10月に?」という背景は、足掛け5年もオーサーをやっていましたので、概ね想像がつきます。しかし、「書き間違い」が4

  • 日本学術会議会員の任命拒否について私の考えるところ

    2020年10月4日 日学術会議会員の任命拒否について私の考えるところ 松沢裕作 内閣総理大臣が、日学術会議が推薦した次期会員のうち、6名の任命を拒否したことについて、思うところを書きます。 この問題は、まず法律の問題、形式の問題として問われるべきです。すでに幾人かの法律家から、「推薦に基づいて、内閣総理大臣が任命する」という法の形式において、内閣総理大臣が推薦を拒否することは、原則的にはできないのではないか、という疑義が呈されています。菅内閣総理大臣は、法に違反した手続きをとったのではないかが問われるべきです。 次に、この首相の措置が不当であると考えられるのは、「推薦に基づいて、内閣総理大臣が任命する」という法の形式において、「推薦に基づかず」任命をおこなわなかった場合には、かなり重い説明の責任が、任命しなかった側に発生するだろうということです。今回の非・任命について、6名のみに、合

  • 政権批判と学問

    大学の教壇に立つようになって今年で19年目になりますが、ここ数年、「批判」と「誹謗中傷」との区別が付かない学生が増えてきたように感じます。 研究者にとっては、批判というものは当然の行為であり、先行研究への(敬意と、それゆえの)批判がなければ研究は成り立ちません。 別に研究に限ったことではなく、批判という健全で建設的な行為が否定されるような歪んだ世界に生まれた覚えはなかったので、批判というものは日常的なものだと認識していました。 ところが、ゼミ等で議論をさせてみると、批判する/されることに嫌悪感を持つ学生がけっこういたりします。なんのために先行研究を調べるのか、「巨人の肩に立つ」とはどういうことか、学部1年の時からしっかり教えてきたつもりですが、慣れていないと批判という行為を悪いことであるかのように誤解する学生は少なくありません。 翻って、「政権批判」を悪事であるかのように考える人が、学生だ

  • 東大情報学環大澤昇平氏の差別発言について - researchmap

    東京大学大学院情報学環特任准教授の大澤昇平氏(@Ohsaworks)が、11月20日にtwitter上で行った差別発言について書きます。この件については、11月24日に情報学環長名ですでに以下のような文書が出されています。 しかし残念ながら、上記の文書からは誰がどのような言動を行い、それがなぜ問題なのかということがわかりません。筆者(明戸)は現在同じ大学、同じ部局の特任助教であり(ただしプロジェクト雇用なので部局そのものの運営等には関わっていません)、また差別やヘイトスピーチにかかわる研究者でもあります。こうしたことをふまえて、ここでは明戸個人の立場から、今回の経緯および論点を整理し、自身の立場を明らかにしておこうと思います。

  • 「令和」のアクセントをどう考えるか? - researchmap

    ※この記事を公開した後にj-castの記事を知りました。その情報を加えています。(2019/04/01,19:31) 新元号が「令和(れいわ)」に決まりました。典籍が万葉集だということなども話題になりましたがここでは発音,もっと具体的にはアクセントについて簡単に説明しておきます。記者会見では官房長官・総理大臣ともに「レ\イワ」のようにレを高くあとを低く発音していました。しかし,私(1977年東京23区生まれ)の感覚では「レイワ ̄」のように下がり目のない発音の方が自然です。同じような感覚を持った人は他にもいるようで,例えばTwitterで検索するとけっこう同じような意見を見つけることができますし,j-castでも取り上げられています。 「令和」のアクセントはどれが正しいかということは言語学的には決めようがありません。しかし,官房長官・総理大臣の発音や私などの感覚の背後にあるものの正体はいくつ

  • 証明の主要部分にコンピューターによる計算が含まれる数学の定理 - researchmap

    証明の主要部分にコンピューターによる計算が含まれる数学の定理としては四色定理[Appel & Haken 1977]が有名ですが、それが最初ではありません。整面凸多面体の分類の完成[Zalgaller 1967]があります。前者が当時話題になったのと比べると、後者はほとんど話題になりませんでした。なぜでしょう? 分野の違い:四色定理はグラフ理論の問題ですが、整面凸多面体の分類は三次元ユークリッド幾何学の問題です。当時は計算幾何学が流行る前ですから、グラフ理論と比べてユークリッド幾何学が古臭い終った分野と思われていたのかもしれません。手法の違い:四色定理の証明で使われたのは、グラフ上の一種の整数計画法です。整面凸多面体の分類で使われたのは三次元ユークリッド空間上の数値計算です。当時は、コンピューターを使って数値計算をしても当たり前と思われたのかもしれません。発表の形態の違い:AppelとHa

  • 菅原裕輝「科学哲学を専門的に学びたい高校生・大学生のために(随時更新)」 - researchmap

    科学哲学を専門的に学びたい高校生・大学生・社会人のために (随時更新) 菅原裕輝(大阪大学COデザインセンター) [最終更新日:2017年7月1日] 0.はじめに Q1.「科学哲学」とは? A1.ここでは「科学を哲学的枠組み(認識論・存在論・倫理学・論理学的観点)から分析する学問分野である」とする。 [参考] 「科学哲学は、科学に関わる問題を扱う哲学である。科学哲学が取り組む問題には異なった二つのタイプがある。まず、科学一般の性に関わる問題に取り組む哲学者がいる。彼らの扱う問いとは、理論上のモノ(entity)は実在するのか、科学は真理を探求しているのか、科学的な方法なるものが存在するのか、などである。次に、個別の科学で生じる哲学的問題に取り組む哲学者たちもいる。たとえば物理学の哲学者は、相対性理論や量子力学にどのような解釈が可能かについて頭を悩ませる。そして生物学の哲学者は、生物種の定

  • 1