売り上げ減少が続く文庫本について図書館での貸し出し中止を文芸春秋の松井清人社長が要請することが分かった。貸出数の4分の1を文庫が占める地域もあるなどと実情を示し、13日の全国図書館大会で市場縮小の要因の一つと訴える。 2015年の同大会でも新潮社の佐藤隆信社長がベストセラーの複数購入を出版不況の一因と主張。その後、図書館側が「因果関係を示すデータはない」と反論し、議論は平行線をたどった。今回は文庫に焦点を絞って問題提起する。 出版社側の調べでは、文庫本の貸し出し実績を公表していた東京都内の3区1市で、15年度、荒川区は一般書の26%を文庫が占めた。ほかの区市では新書も合わせた統計で2割前後に上った。松井氏は「文庫は自分で買うという空気が醸成されることが重要」と訴え、一石を投じる。 出版社は、小説などを雑誌で…