不寛容な空気が、社会を覆っている。自分と異なる意見、異なる価値観を認められない人が増えている。隣国や国内の少数者、弱者を排撃する言葉は、後を絶たない。その背景には何があるのか。社会に寛容さを取り戻すために、一人一人にできることは何だろうか。作家の中村文則さん(42)と高橋源一郎さん(69)に語り合ってもらった。 高橋 昨年十二月に韓国で慰安婦像(平和の少女像)を見てきました。あいちトリエンナーレの「表現の不自由展・その後」(注<1>)の問題もあったので、韓国で同じキムさん夫妻の作品を見たいと思ったのです。