この地図は北海道函館市(都市人口27万人、都市圏人口34万人)のものですが、「動く街」を観察するのにとても分かりやすい例です。 都市圏の規模は、前回触れた佐世保や佐賀と近いですが、どちらとも似ないパターンが特徴です。佐世保が1点にかたまる街、佐賀が全方向に拡散し各施設が点在するパターンだとすると、函館は、時代を追うごとに新たな点ができ、新旧4つの点がそれぞれ性質の異なる街なのです。 それぞれの街の中心の移動から、時代の移り変わりを観察できる。そういうことでもあります。実線の赤い矢印が、これまで住宅地の拡がってきた方向ですが、ちょうど山裾まで来たところです。函館都市圏の人口のピークは過ぎましたが、近年まで人口が増加し、現在も僅かに拡大が見られるのは、平地がある北西方向(北斗市、七飯町)です。新幹線の新函館北斗駅ができ、郊外型の商業施設が多いのもこのエリアです。 函館市は明治以降対外貿易港とし