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ブックマーク / davitrice.hatenadiary.jp (13)

  • 反共同体主義としてのリバタリアニズム(読書メモ:『自由はどこまで可能か』) - 道徳的動物日記

    自由はどこまで可能か=リバタリアニズム入門 (講談社現代新書) 作者:森村 進 講談社 Amazon タイトル通り、思想や哲学としてのリバタリアニズムの入門書。 書の初版は2001年ともう20年以上前であるし、わたしが書を最初に読んだのも学部生だったときだ。書の書評やレビューはネットの内外にて既に大量に書かれているだろうから、この記事では書の内容を要約するということはせず、先日に読み直したときにとくに印象に残った箇所……第4章「政府と社会と経済」で、共同体主義(コミュニタリアニズム)や共和主義などの「連帯感」を重視した発想に対して批判を行なっている箇所を主に紹介しておこう。 経済的不平等は社会内部の連帯感を損なう、と言われるかもしれない。だが、リバタリアンはそもそも相互に人間性を認め合うという、礼儀正しい尊重以上の濃い連帯感が社会全体の中に存在しなければならないとは考えない。濃い連

    反共同体主義としてのリバタリアニズム(読書メモ:『自由はどこまで可能か』) - 道徳的動物日記
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    yojik 2023/11/29
  • 理性と論理に基づくリベラリズム(読書メモ『Liberalism : the basics』) - 道徳的動物日記

    Liberalism: The Basics (English Edition) 作者:Charvet, John Routledge Amazon 次のの執筆に向けて昨年からリベラリズムのことを勉強し続けているうちに気が尽かされたのだが、哲学や理論としてのリベラリズムの入門書は意外なほどに少ない。 中公新書の『リベラルとは何か』は思想史や哲学の話題は半分以下であり後半は現代の政治状況や国家制度の話が主であったし、オックスフォードのベリーショートイントロダクションの翻訳であるマイケル・フリーデンの『リベラリズムとは何か』も思想史がメインであって哲学としてのリベラリズム理論を解説するものではなかった(むしろ、ジョン・ロールズの扱いの悪さにあらわれているように、フリーデンは厳密な哲学的議論を嫌っているという印象も受ける)*1。 わたしがこれまでに読んできたでとくにリベラリズムの理論が勉強で

    理性と論理に基づくリベラリズム(読書メモ『Liberalism : the basics』) - 道徳的動物日記
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    yojik 2023/07/31
  • 続・公共的理性とはなんぞや(読書メモ:『公共哲学入門』) - 道徳的動物日記

    公共哲学入門 自由と複数性のある社会のために NHKブックス 作者:齋藤 純一,谷澤 正嗣 NHK出版 Amazon 「公共哲学」と書くと見慣れない人も多いかもしれないし、書の第一章では他の哲学ではなく「公共哲学」に特有の課題とは何かということが解説されてもいるが、まあ実際には第二章で大衆論にざっと触れられたり第三章でアーレントやハーバーマスが登場するところを除けば、ほとんど(英語圏における)「政治哲学」や「正義論」の入門書などと同じような内容。第九章で社会保障論が取り上げられたり、第十章と第十一章で民主主義論が取り上げられているところはまあ特徴的かもしれない。 十四章約300ページのなかにかなり多くの議論や思想家が詰め込んで紹介されており、内容は充実してはいるのだが駆け足になっていて踏み込みが足りない感が強い。基的にはバランスが良い内容になっているが、「ネオリベラリズム」という単語や

    続・公共的理性とはなんぞや(読書メモ:『公共哲学入門』) - 道徳的動物日記
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    yojik 2023/06/19
  • ピーター・シンガーによる「言論の自由」論 - 道徳的動物日記

    出勤前の短い時間なのでメモ的な記事。 www.project-syndicate.org 昨年の11月に倫理学者のピーター・シンガーが書いたコラム。イ ーロン・マスクTwitterを買収したことに言及しながら、自身が編集委員をやっている雑誌 Journal of Controversial Ideas (論争的な問題についてのジャーナル)について紹介(宣伝?)するような内容だ。 とくに重要だと思ったところを、(時間ないので)Chat GPTに訳してもらった。 マスクが「Wokeの精神のウイルス」と呼ぶもの……政治的に正しくないと見なされる意見を主張する人々を攻撃したがること……そして政治的な立場を横断した真の対話が欠如していることに関して、私はマスクと同じ意見を持っている。だからこそ、私はJournal of Controversial Ideas という学術雑誌の創設編集者の一人となっ

    ピーター・シンガーによる「言論の自由」論 - 道徳的動物日記
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    yojik 2023/06/01
    “Polemic”
  • ミソジニー論客たちのエコーチェンバー - 道徳的動物日記

    お嬢さんと嘘と男たちのデス・ロード ジェンダー・フェミニズム批評入門 作者:北村 紗衣 文藝春秋 Amazon 大して話題になっている問題でもないが、つい気になってしまってTwitterで言及してしまったので、ブログのほうでも考えを残しておく。 togetter.com 上記のTogetterにもまとめられているように、2月25日から、山内雁琳 (@ganrim_)が北村紗衣の単著『お嬢さんと嘘と男たちのデス・ロード』に記載されている「歴史修正主義」に関する記述について批判を行うツイートをしている。 Togetterには載っていないが、発端は、高橋雄一郎弁護士による以下のツイート。 北村紗衣「お嬢さんと嘘と男たちのデス・ロード」(文藝春秋)読了。映画音楽演劇と凄まじい量の前提知識を要求する。検索しつつ読むのが大変。p91に「歴史修正主義というのは来、新史料の発掘や再解釈によってこれまでの

    ミソジニー論客たちのエコーチェンバー - 道徳的動物日記
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    yojik 2023/02/28
    悪意を見出す必要がないところに悪意を見出す人たち。まあ政治的派閥?によらないかもしれないけど
  • 読書メモ:『哲学の門前』 - 道徳的動物日記

    哲学の門前 作者:吉川浩満 紀伊國屋書店 Amazon 著者の吉川浩満さんには文筆家としてのデビューするきっかけをいただいており、その後も編集者を紹介していただいたり『21世紀の道徳』や次作の執筆の打ち合わせにも毎回のように参加していただいてもらったりするなど、いろいろとお世話になっている(そして、書内の「勤労日記(抄)」にはイニシャルとしてではあるがわたしも登場している(p.143))。 書も発売当初に献してもらって、そのまましばらく積んでいたが、家庭の事情のために昨日から京都に実家に戻っており、東京からの新幹線や実家で読むを持っていくうえで「事情のために集中できるコンディンションではないから軽い読み物のほうがいいな」ということを検討したうえで、エッセイがメインであると思わしき『哲学の門前』を持っていったという次第。とはいえ、そこまで気軽な内容というわけでもなく、世間一般の価値観

    読書メモ:『哲学の門前』 - 道徳的動物日記
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    yojik 2023/02/15
  • 「運」にどこまで配慮すべきか?(読書メモ:『自由意志対話:自由・責任・報い』) - 道徳的動物日記

    自由意志対話:自由・責任・報い 作者:ダニエル C デネット,グレッグ D カルーゾー 青土社 Amazon 非両立論-楽観的懐疑論者のグレッグ・カルーゾーと両立論者のダニエル・デネットが論争する*1。訳者あとがきでも指摘されているように両者の議論はかなり細かく入り組んでおり、決して入門的なではない(とはいえ、『そうしないことはありえたか?』を読んだおかげもあってか、だいたいのところは理解することができたと思う)。 また、原題は Just Deserts: Debating Free Will(「当然の報い:自由意志について議論する」)であり、自由意志についての形而上学的な議論ではなく Desert(「相応しさ」)についての規範的な議論のほうが主になっている。『そうしないことはありえたか?』を読んだときには「自由意志の話よりも責任の話のほうが主になっているじゃん」と面らったものだが、

    「運」にどこまで配慮すべきか?(読書メモ:『自由意志対話:自由・責任・報い』) - 道徳的動物日記
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    yojik 2023/02/02
  • ロールズの社会は「地獄」なのか?(読書メモ:『増補 責任という虚構』) - 道徳的動物日記

    つ 増補 責任という虚構 (ちくま学芸文庫) 作者:小坂井敏晶 筑摩書房 Amazon 以前に同じ著者の『社会心理学講義:〈閉ざされた社会〉と〈開かれた社会〉 』も読んだけれど、読んでいてとにかくイライラした。書も同じく。 著者の立場は極端な社会構築主義。『責任という虚構』にせよ『社会心理学講義』にせよ、「自由意志」は存在せず「責任」はだれかに罪や貧乏クジを押し付けて社会秩序を回復するための虚構に過ぎないと言い張ったうえで、自由意志とそれに伴う責任を前提としたうえで有るべき社会秩序を考えて「規範」を説こうとする哲学者の傲慢さや偽善性を批判する、という論旨がよく登場する。また、ベンジャミン・リベットの実験やスタンフォード監獄実験などの脳科学・心理学の研究結果をかなり大袈裟に解釈して牽強付会に用いているところも特徴。ほかの心理学者のを読んでみるとなんだかんだで謙虚であり、「現在の心理学の知

    ロールズの社会は「地獄」なのか?(読書メモ:『増補 責任という虚構』) - 道徳的動物日記
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    yojik 2022/10/04
  • 「新自由主義」や「自己責任論」は実在するか?(読書メモ:『<学問>の取扱説明書』) - 道徳的動物日記

    改訂第二版〈学問〉の取扱説明書 作者:仲正昌樹 作品社 Amazon 久しぶりに写経っぽい読書メモ。 「新自由主義」という言葉自体にも気をつけなくてはいけません。日語の「〜主義」、あるいは英語の<〜ism>という言い方はすごく曖昧です。「マルクス主義」とか「ヘーゲル主義」「カント主義」などの個人名が付いている時の「主義」は、その固有名詞と結びついてる特定の思想やイデオロギーに自覚的にコミットしていることを意味するわけですが、「自由主義」とか「社会主義」、あるいは「フェミニズム」になると、その幅がかなり広くなります。むしろ思想傾向とか、基的な考え方の枠組みくらいのゆるい意味で理解した方がいいかもしれません。「民主主義」だと、そもそも英語にすると、<democracy>で、「主義」「思想」ではなくて、「制度」です。「資主義 capitalism」も、思想的な意味での「主義」ではありません

    「新自由主義」や「自己責任論」は実在するか?(読書メモ:『<学問>の取扱説明書』) - 道徳的動物日記
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    yojik 2022/10/03
  • 「男性にも"ことば"が必要だ」:補足と宣伝 - 道徳的動物日記

    s-scrap.com 晶文社のサイトでわたしが行っている連載だけれど、今月の記事がかなり多くはてなブックマークが付いている(Twitterでも話題になっている)ので、せっかくなのでこちらで補足と宣伝。 ・「めちゃくちゃ長い」「長くて読めなかった」というコメントが散見されるけれど、晶文社のサイトの連載は後日に単行化することを前提にしているものなので、Web記事としてというよりも、のちにのなかの一章として読まれることを想定しながら書いている。 たとえば2020年から2021年にかけて掲載した9つの記事は、加筆修正したうえで、『21世紀の道徳:学問、功利主義、ジェンダー、幸福を考える』に収められている。書にはさらに4つの章が書き下ろしで追加されています。『21世紀の道徳』をまだ買っていない人は買ってください。 honto.jp 21世紀の道徳 作者:ベンジャミン・クリッツァー 晶文社 A

    「男性にも"ことば"が必要だ」:補足と宣伝 - 道徳的動物日記
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    yojik 2022/04/15
  • トロッコ問題批判批判 - 道徳的動物日記

    先日に森村進の『幸福とは何か』 (ちくまプリマー新書、2018年)を読んでいたら、後半の方で以下のような記述があった*1。 幸福とは何かを考えるにあたって、私は書でさまざまの思考実験を利用してきましたが、その中には非現実的な例も少なくありませんでした。この方法は現代の哲学、特に分析哲学と呼ばれている著作の中ではごくありふれたものです。しかし世の中にはそれに反発する人も少なくありません。彼らは「そんな自体は実際には発生しない」とか「その例におていは<これこれしかじか>と前提されているが、<これこれしかじか>ということが当事者にどうして確信できるのか?」などと言って、思考実験に向かい合おうとしません。思考実験は地に足のついた思考の敵だ、と彼らは信じているのでしょう。 『幸福とは何か』ではトロッコ問題はほとんど出てこなかったが、上記のような批判は、特にトロッコ問題に対して向けられがちだ。典型的

    トロッコ問題批判批判 - 道徳的動物日記
    yojik
    yojik 2019/04/14
    “トロッコ問題の設定や出題者の権力性などなどをいくら批判したところで、トロッコ問題が提示している問題が解決する訳ではない”
  • 社会運動において意見を発信する側はどうするべきか、そして意見を受け取る側はどうあるべきか - 道徳的動物日記

    davitrice.hatenadiary.jp 上述の、先日に自分で書いた記事に付け足す形で思うところを書きたい。 先日の記事でも紹介したが、ニック・クーニー(Nick Cooney)の著書『心を変える:社会を変える方法について心理学が教えてくれること(Change of Heart: What Psychology Can Teach Us About Spreading Social Change)』では、活動家としての著者の経験と心理学の様々な知見に基づきながら「ある社会問題について、社会運動によって自分たち以外の人々をその社会問題に注目させて、それらの人々の考え方や意見を変えることで社会も変化させることを、効果的に行うためにはどうすればいいか」ということについての実践的なアドバイスやテクニック論じられているである。 なぜそのようなアドバイスやテクニックが必要になるかというと、人

    社会運動において意見を発信する側はどうするべきか、そして意見を受け取る側はどうあるべきか - 道徳的動物日記
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    yojik 2017/04/25
  • 「私たちは道徳的に賢くなっているのか?:IQの上昇、暴力の減少、経済的リベラリズムの関係」 by マイケル・シャーマー - 道徳的動物日記

    reason.com 今回紹介するのは、心理学者で疑似科学批判者で無神論者のマイケル・シャーマー(Michael Shermer)が Reason.com というサイトに掲載した「Are We Becoming Morally Smarter?」という記事。 シャーマーは昨年に『 The Moral Arc: How Science and Reason Lead Humanity toward Truth, Justice, and Freedom (道徳の弧:科学と理性はいかにして私たちを真実と正義と自由に導くか)』というを出版している*1。副題の通り、人々が科学的・理性的な思考方法を身に付けるにつれて、他人に配慮した道徳的な思考もするようになったり、正義などの抽象的な概念を理解したり、宗教の権威を否定したり、民主主義などが普及したりして、暴力が減少してより多くの人々に権利や自由が認

    「私たちは道徳的に賢くなっているのか?:IQの上昇、暴力の減少、経済的リベラリズムの関係」 by マイケル・シャーマー - 道徳的動物日記
    yojik
    yojik 2016/04/19
    道徳的に振舞うには他人と自分の共通性を捉える抽象的な思考が必要。現代人は抽象的思考の能力が向上してるので全体的に道徳的になってるかも、という話(ミクロなレベルでは反例も多いだろうけど正しい気がする)
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