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ブックマーク / yoghurt.hatenadiary.com (10)

  • この世界の片隅に - 未来の蛮族

    この映画を観たのは、もうずいぶん前のことで、観た後ずっと、自分の中で整理がつけられずにモヤモヤとした気分がつづいていて、それは今こうして文章を書いている時点においても全く解消されていないのだけれど、これだけ時間が経ってもモヤモヤが消えないということは、たぶんこのモヤモヤは時間の経過とともに消えるたぐいのものではないと思うので、感情や思考に整理をつけるのは諦め、モヤモヤをモヤモヤしたまま書き記すことにしました。 大前提として、これはもう、当に素晴らしい映画でした。今年観た映画でいちばんよかった。といっても、今年は映画を三くらいしか観ていないわけですが、おそらく百観たとしても、この映画が年間ベストであるという結論が変わることはないと思います。原作も読みましたが、のんさんの好演によって、すずさんに新しい生命が与えられていて、おれはもう、すずさんが、かつてこの世界に実際に暮らしていた人としか

    この世界の片隅に - 未来の蛮族
    yojik
    yojik 2016/12/09
  • 「怒り」と「逮捕されるまで」 - 未来の蛮族

    シン・ゴジラを観にいったら、予告編で渡辺謙が渋い声で「怒り」とタイトルコールしていた。そういや悪人も結構良かったな、なんてことを思い出して、 yoghurt.hatenadiary.com まずは「怒り」の原作を読んでみた。十分に面白かったのだけど、何だか釈然としない。これ「怒り」って話かな? 「怒り」なんて全然関係ないんじゃない?なんて思った。そういや、「悪人」を読んだ時も、これ「悪人」の話かあ? なんて思ってモヤモヤした気がする。「パレード」はすごくよかった気もするけれど。 「怒り」が辛いのは、正直に言って、元ネタになったであろう「逮捕されるまで 空白の2年7ヶ月の記録」の方が面白いというところだろう。と言っても、これは「怒り」が悪いというわけでは決してなくて、「逮捕されるまで」がちょっと異様なくらい良すぎるのが問題なのだ。「逮捕されるまで」は、僕が今まで読んだの中でもベスト10に入

    「怒り」と「逮捕されるまで」 - 未来の蛮族
    yojik
    yojik 2016/09/01
  • 剛力彩芽、その顔が天才だ! - 未来の蛮族

    私はこれまで、ただ自分のためにだけ、文章を書いてきた。他人のために文章を書いたことなど、一度もない。 ずっとそれでいいと思っていたし、今でも別に反省したというわけじゃない。 それでも、今回ばかりは特別だ。これから書く文章は、憤りによって書かれるべきものなのだが、私はこれを自分ひとりのものにはしたくないのだ。 これは義憤であり、公憤である。 何しろ、「剛力彩芽はブサイクだ」なんてふざけたことを口走る連中が大手を振って歩いているのが、今のインターネットなのだ。 誰かが何かを言わなければならない。 勘違いをして欲しくはないのだが、誰かのために書く、といっても、私は剛力さんのために書くわけじゃない。 彼女はそんなものは必要としないだろう。私は、剛力彩芽という革命にまだ気がつかないでいる、かわいそうなあなたがたのためにこそ、この文章を書きたいのだ。 memewデジタル写真集 剛力彩芽 Part1 作

    剛力彩芽、その顔が天才だ! - 未来の蛮族
    yojik
    yojik 2013/01/15
  • 祖父の孫の長い旅 - 未来の蛮族

    これまでのあらすじ 左翼だったはずの祖父は、日の丸大好きっ子だった― その真意を確かめるべく、僕は祖父の言葉を探す旅に出た。 祖父の長い旅 祖父の長い長い旅 1982年。 それは沖縄が日に復帰して十年が経った年であると同時に、この文章を書いている人間が生まれた年でもある。祖父は、初孫である僕の誕生をこのうえなく喜んだというのだけれども、同じ年に祖父がのこした文章は、これまでない苦痛と混乱に満ちていた。 「われわれは嘘つきだ」 「沖縄の海が滅びるというのなら、それでもいい」 「私は無念だった。今でも夢にまでみる」 それが国会図書館にのこされた祖父の最後の言葉だったのだけど、正直にいえば、僕にはそれほどよい文章には思えなかった。強すぎる言葉は、つながりを欠いていて、全てが唐突に突きつけられているように感じられる。ブロガーの書く文章に似ているな、と思った。特に、はてな育ちで、Yを頭文字に持つブ

    祖父の孫の長い旅 - 未来の蛮族
    yojik
    yojik 2012/12/28
  • 祖父の長い旅 - 未来の蛮族

    土曜の夜は、祖父母の家で夕を過ごすことになっていた。 波の上という街に住む祖父母の家には、泊大橋という橋をこえていかなければならない。橋から見下ろす港にはたくさんの貨物船が止まっていて、なぜかそれらの甲板には決まって大きな犬がいた。 どうすれば船のうえで犬を飼うことができるのだろう? 子供ながらにそう思っていたし、それは今でも解くことのできない疑問だ。もしかすると、あれは夢でみた風景だったのかもしれない。 祖母がくれるお菓子はいつも亀田製菓の「雪の宿」だったこと、テレビにはクイズダービーが映しだされていたこと、祖父母と同居するS叔父が僕たち兄弟に折り紙を教えてくれたこと、幼い時分の記憶はどれも断片的で、はっきりせず、たよりない。 なかでも祖父の記憶はおぼろげだ。 僕がかろうじて覚えているのは、部屋の片隅で、しずかに泡盛を飲む祖父の姿だ。ほんとうに水のように酒を飲む人で、それで乱れるという

    祖父の長い旅 - 未来の蛮族
    yojik
    yojik 2012/12/11
  • 逆襲のブロガー

    息子と車中で聴くためのプレイリストを毎月作っている。なるべくポップなもので、新譜中心がいいかな、と思ってはいるものの、懐古趣味的なものが混じることもあり(6月のプレイリストでいえば、「微笑みの爆弾」)、とくに明確なコンセプトはない。今でさえ、息子と同じ音楽を聴くという機会はドライブのときぐらいのものだが、そのうち息子にも自分の趣味が生まれてくるだろうから、こうした時間もそれほど長くは続かないだろう。 2022年6月のプレイリストでは、何といってもOMSBの大衆が素晴らしかった。OMSBという人のキャラクターを僕はほとんどしらないのだが、プレイリストに登場するのは今回が初めてではない(「CLOWN」が2021年12月のプレイリストに登場)ので、すでに一方的な親しみを感じている。優しいけれども、醒めた諦観のようなものも漂わせていて(きっとさんざん裏切られてきたのだろう)、それでいてまったく不貞

    逆襲のブロガー
    yojik
    yojik 2012/12/10
  • 祖父の長い長い旅 - 未来の蛮族

    それにしても、人類はなんと恐ろしいものを思いついてしまったのだろう。 その建物を前に、僕は人類の業の深さにおののいていた。 国会図書館。ここには、この国で発行されたほとんどの出版物が収まられているという。 インターネットは確かに偉大な技術だし、はじめて納豆をべた人間の勇気は永遠に称えられるべきだと思うけれど、人類史上最もヤバい思いつきをひとつだけあげるとするなら、やはりそれは「文字」にほかならないだろう。約五千年前に発明されたというこのテクノロジーは、はるか彼方の人間に声を届けることができるだけではなく、死者の声すら地上に留めおくことができるのだ。 時間と空間を超越し、生と死を弄ぶ。まさしく、神をも恐れぬ所業。人類の狂気の生み出した産物である。 僕は想像する。暗闇の中で、何百万もの生者と死者が、暗闇の中でじっと聴き手を待ちつづけている姿を。 何とも恐ろしい話だが、さりとて怖がってばかりも

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    yojik
    yojik 2012/12/10
    いい文章だなー
  • 静林の如く、女を語れ! 第二章 ともさかりえ - 未来の蛮族

    はじめに断っておくが、僕はともさかりえに恋したことはない。それどころか、僕は彼女について、何一つ語るべき言葉を持っていないのだ。かろうじて、顔がうつみ宮土里に似ているナア……というような感想を持つくらいである。僕にとって、ともさかりえは「語るもの」ではなくて、常に「語られるもの」だった。椎名林檎は、彼女を評して、「きれいで儚い人」だと語った*1。伊集院光は、「微妙な顔なのに美人扱い」「顔が曲がっている」といったような、かなりひどいことをラジオで喋っていた。(深夜の馬鹿力でそのようなことをよくネタにしていたように記憶している)。そのどちらも、僕にはいまいちピンと来なかったのだけれど、不思議に心の隅にひっかかってしまって、今日に至るまで忘れることができなかった。ともさかりえ自身よりも、ともさかりえについて語る彼らのことが気になっていた。僕には、彼らがともさかりえにかこつけて、他の何かを語ろうと

    静林の如く、女を語れ! 第二章 ともさかりえ - 未来の蛮族
    yojik
    yojik 2009/02/26
  • 「ぼくのかんがえたロックマン」で考える格差社会! - 未来の蛮族

    もしかすると、「ぼくのかんがえたロックマン」という言い方は一般的ではないのかもしれない。「ぼくのかんがえたロックマン」でgoogle先生に尋ねてみても、そのものズバリのサイトはヒットしないのだ。実際、「ぼくのかんがえたロックマン」で考えるのはロックマンではなく、ロックマンと敵対するボスキャラであるので、この言い回しは正確さには欠けるかもしれない。とはいえ、二十歳前後の世代に位置する方ならば、「ぼくのかんがえたロックマン」と言えば何の話をしたいかはわかってもらえることと思う。一応、念のために説明しておくと、「ぼくのかんがえたロックマン」というのは、CAPCOM社の発売したファミコンソフト「ロックマン」シリーズの販促キャンペーンのひとつで、ゲームに登場するボスキャラを子供たちから募集する、というものである。自分の考えたキャラクターがゲームになる、ということは、当時の子供たちにとっては考えただけ

    「ぼくのかんがえたロックマン」で考える格差社会! - 未来の蛮族
    yojik
    yojik 2007/08/09
    すげぇ
  • 砂糖菓子の長州力は撃ちぬけない - 未来の蛮族

    実のところ、これまでプロレスやプロレスラーに憧れを抱いたことがない。ただの一度もだ。そんなおれだけれども、プロレスファンにはずっと憧れている。尊敬している。それは昔からそうだったし、プロレス最強幻想が破綻した今ではなおさらのことだ。 「強さ」を売りにしていたはずのプロレスが、最強ではなくなる。それはきっとプロレスファンにとって、簡単なことではなかったはずだ。「あれ? キックの方が強いのでは…?」「柔術のほうが強いのでは…?」という疑問を生じること事態が、そもそも由々しきことだっただろうと思う。もちろん、プロレスラーの価値は強さだけに立脚するものではないだろうし、そうした認識は昔からずっとあったものだろうが、それでも「ガチで闘えば最強…」という幻想がプロレスの魅力を底で支えていたのは確かだ。その底が抜ける、抜けてしまったとき、プロレスはどうなってしまうのだろう。ヤバいのではないか。少なくとも

    砂糖菓子の長州力は撃ちぬけない - 未来の蛮族
    yojik
    yojik 2007/04/04
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