この映画を観たのは、もうずいぶん前のことで、観た後ずっと、自分の中で整理がつけられずにモヤモヤとした気分がつづいていて、それは今こうして文章を書いている時点においても全く解消されていないのだけれど、これだけ時間が経ってもモヤモヤが消えないということは、たぶんこのモヤモヤは時間の経過とともに消えるたぐいのものではないと思うので、感情や思考に整理をつけるのは諦め、モヤモヤをモヤモヤしたまま書き記すことにしました。 大前提として、これはもう、本当に素晴らしい映画でした。今年観た映画でいちばんよかった。といっても、今年は映画を三本くらいしか観ていないわけですが、おそらく百本観たとしても、この映画が年間ベストであるという結論が変わることはないと思います。原作も読みましたが、のんさんの好演によって、すずさんに新しい生命が与えられていて、おれはもう、すずさんが、かつてこの世界に実際に暮らしていた人としか