強制送還される際に入国管理局の職員に押さえつけられたあと、意識を失って死亡したガーナ人の男性の遺族が国を訴えた裁判で、東京高等裁判所は「死因は腫瘍が原因の不整脈だ」として、国に賠償を命じた1審の判決を取り消し、訴えを退けました。 18日の2審の判決で東京高等裁判所の瀧澤泉裁判長は「男性は猿ぐつわをされ、前かがみにされたが、呼吸困難を訴えた形跡はなく、医師の意見も考慮すると、死因は心臓の腫瘍が原因の不整脈で窒息死ではない」という判断を示しました。そのうえで、「職員らの行為は呼吸を止めるような強さではないから違法とはいえない」として1審の判決を取り消し、訴えを退けました。 男性の妻は会見を開き、「とても失望しました」と落胆した様子で話しました。また、妻の弁護士は「裁判所は少数者の人権を守るという本来の役割を果たしていない。上告を検討する」と述べました。