国際ニュースを深く読み解くには、目の前の事柄だけに注目するのではなく、その経緯や背景を紐解く必要がある。『読書大全』の著者で、膨大な数の書物を読んできた堀内勉氏が、その知識の蓄積からニュースを読み解く本連載。第2回はアメリカでいまも人種差別問題が解決しないのは“社会の設計”に問題があるという主張について。 2021年9月8日、アメリカのバージニア州リッチモンドの公園内にあった南北戦争の南軍司令官、ロバート・E・リー将軍の銅像が撤去された。リー将軍は、アメリカ史上屈指の名将として評価が高く、昔は日本でも彼にまつわるドラマや映画がたくさん放映されていたので、ある年齢以上の人なら誰でも知っている人物だろう。 このリー将軍の銅像は、奴隷制度や人種差別の象徴だとして長年批判にさらされてきたものだ。これが今になって撤去されたのは、2020年に全米で広がった人種差別への抗議運動BLM(ブラック・ライブズ
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