許斐剛の描くかっこよさは、いつも微妙にズレている。その微妙なズレが、読者をますます夢中にさせる。「微妙なズレ」というのがポイントで、自覚的にズレたものを描くならば、ギャグ作家になるわけである。 許斐剛は「自分がかっこいいと思うもの」を読者にむかって投げる。それは受け手の出したミットの位置から少しズレている。受け手のミットの位置を予測して、ズレたところに放り投げるのがギャグ作家だとすれば、許斐剛は、全力で投げたボールがミットから少しズレているのである。 許斐剛の代表作といえば『テニスの王子様』だが、今回は『レンタルボディーガード COOL』という作品によって、許斐剛的かっこよさとは何かを考えてみたい。『COOL』は1997年に週刊少年ジャンプで連載された作品だが、短期間で打ち切りにあってしまう。そして1999年、次作である『テニスの王子様』が始まる。 その意味で、『COOL』は「ジャンプ打ち