いち早く問題に気づいていたのは、アナリストやトレーダーたちで、その中で最も地位が高かったのは、マイケル・ジェルバンドだった。 作家 黒木 亮=文 写真=AP Images、PANA 世界大不況の引き金を引いたリーマン・ショックから1年が経った。沈没する企業が続出する一方、JPモルガン・チェースやゴールドマン・サックスなど金融猛禽類たちは即、復活を果たしている。両者を分けたものは何だったのか? 国際経済小説の第一人者が、その内実をレポートする──。 ちょうど2008年の今頃、リーマン・ブラザーズが破綻し、世界は大揺れに揺れていた。 それから1年が経ち、世界経済は、不安を抱えながらも回復に向かいつつある。当時は倒産の可能性も囁かれたゴールドマン・サックスは、2009年上半期の純利益が52億4900万ドルに達し、早くも復活してきた。 ここ半年くらいで、金融危機に関する政府の調査や関係者の手記な