2022年にデビュー30年を迎えるのを前に、声優の緒方恵美さんが初の自伝本『再生(仮)』(KADOKAWA)を出版しました。生い立ち、表現の世界に惹かれ、挫折しながらも、やがて声優やライブ活動に邁進——これまでの人生を、自らの私生活や仕事での困難・葛藤も合わせて赤裸々につづっています。「声優・緒方恵美」の魅力とは——。『再生(仮)』の構成に携わったアニメ文化ジャーナリストの渡辺由美子さんが、平成〜令和のアニメーション史、声優史や社会的・ビジネス的な背景とともに緒方さんの表現者としての魅力を分析します。 「時代の要請」が生んだ稀代の表現者 緒方恵美(56)という声優を考えたとき、“時代の要請”で登場した存在だと思わずにはいられない。 緒方は、1990年代にデビューし、現在もアニメーションのアフレコや声の芝居にとどまらず、音楽活動、ライブステージ、ラジオ、配信番組等々をこなす。 そのあり方は、