今回の震災は最初にマグニチュードの大きさに驚き、津波被害の甚大さに言葉を失い、そして福島第1原発の放射能汚染の広がりに怯えた。被害の全容がまだ明らかにならず、被災者の捜索も続いている段階だが、この震災に対する国の対応にはどのような問題があったのかを省み、これから国と自治体はどのように対応したらいいのかを考えることが時期尚早だとは思わない。 この未曾有の大震災は日本の防災システムの弱点をすべて露顕させてしまった。原発事故の全容がいつまでたってもわからず、被災地域への物資補給が遅れて被災地や避難場所での犠牲が拡大したのは、災害の規模が国の対応能力の限界を超えてしまったからではなく、災害の規模にかかわらず、そもそも国が防災の現場に直接かかわることを想定していないからなのである。そのため、国の対応は現場の危機が限界になってからの後手ばかりで、何一つ先手を打てていない。 以下、初動、予算、法律の観点