菅総務相が、NHKに拉致問題について「命令放送」を行わせると発言したことが波紋を呼んでいる。メディア各社は「政府の介入を許すな」などと論じているが、どうも基本的な事実関係がよく理解されていないのではないか。 まず命令放送は、今度初めて行うものではなく、毎年4月に総務省からNHKに「国際放送実施命令」が出される。これは国際放送が政府の補助金を受ける半国営放送である以上、当たり前だ。税金だけ出して口を出さないのでは、納税者に申し訳が立たない。朝日新聞によれば、今年の命令書交付のときも、総務省から口頭で、拉致問題を重点的に扱うよう要請があったという。今度の菅氏の話も、この命令を明文化するだけの話だ。 新聞記者は、普段はNHKに政府からの介入がないと思っているのかもしれないが、少なくとも私の勤務していたころは、当時の会長室(今の総合企画室)には郵政省と直通のホットラインがあり、日常的に郵政省か