疑問や文句があるのなら、なぜ本誌に言ってこないのだ。『週刊金曜日』2009年2月20日号に掲載した旅行添乗員たちの労働組合結成をめぐる記事に対して、取材に応じた組合支部委員長が事実上の解雇処分を受けた(3月18日)。組合つぶしの不当労働行為の疑いがあるだけでなく、言論の自由への挑戦でもある。 全国に1万2000人近くいる旅行添乗員の9割ほどが「派遣」だという。社団法人日本添乗サービス協会(東京都港区)作成の冊子によると、1日の労働時間が12時間を超える勤務が大半にもかかわらず、平均年収は約236万円(2005年労働実態調査)で、「厳しい勤務内容と低い給与水準が将来に対する大きな不安に繋がっています」(同冊子)。 そうした旅行添乗員の労働環境と待遇を改善し、誇りの持てる職業にしたいとの思いで、塩田卓嗣さん(46歳)は労働組合の結成に関わった。阪急交通社の子会社、㈱阪急トラベルサポート東京支店