ゲームに没頭し、6年間ほとんど外出していない少年。「現実の世界は失敗できないけが、ゲームはリセットできる」 両親と妹、祖母が夕飯の食卓を囲む頃。ケンヤ(19)(仮名)はパジャマ兼用のジャージー姿で起き出してくる。向かうのは食卓ではなく、すぐ横のパソコンだ。 オンラインゲームにログインすると、目は画面にくぎ付けになる。聞こえるのはヘッドホンからのゲーム音だけ。一段落すると食卓の皿をつかみ取り、キーボードの上でかき込んだ。 長身のケンヤの丸まった背中を見ながら、父親(50)は言う。「食卓からパソコンまでのわずか1メートルが、とてつもなく遠く感じる」 ゲームは朝まで続く。「このやろう!」。深夜の大声に、家族が目を覚ますこともある。 ◇ ケンヤがゲームに出会ったのは中学2年の夏休み。共働きの両親の目が届かず、学校にも行かなくていい。昼夜逆転したゲーム三昧の毎日。休みが明けてもパソコンの前から離れら