日々刻々 橘玲 移り変わりの激しい世界の中でつい見逃しそうになる事件や経済、金融、社会問題などについて、作家・橘玲氏が鋭くメスを入れる。 バックナンバー一覧 トランスジェンダー活動家らのキャンセル運動によって、アメリカのジャーナリスト、アビゲイル・シュライアーの『あの子もトランスジェンダーになった』がKADOKAWAで刊行中止になった事件はメディアやインターネットで広く報じられた。 その後、同書は産経新聞出版が版権を取得し、邦題を『トランスジェンダーになりたい少女たち SNS・学校・医療が煽る流行の悲劇』(岩波明監修/村山美雪、高橋知子、寺尾まち子訳)と変えて発売された。一部の書店では販売が自粛されたものの、すでに話題になっていたからか、Amazonではたちまち総合1位になった。結果的に、翻訳出版を中止させようという運動は、ふだんはこの手の本を読まない層の関心をかき立てることになったようだ