世の中を良くするのに役立たないことで定評のある経済学だが、長年の懸案に答えが出ているものがある。それは「貧しい国をいかに豊かにするか」である。答えは、輸出型の外資の導入だ。特区を作って安い労働力を提供し、輸出を伸ばすとともに、増えた所得が内需を拡げ、経済を成長させる。もはや常識と化したこの手法だが、まじめに考えると、なぜ成功するのか明らかでなかったりする。 なぜ「輸出」なのか。成長の源は設備投資にあり、それには需要が決定的に重要という理解があれば、何の疑問もないが、経済学の教科書から一歩も出ずに、「需要の有無と関係なく、低賃金に加え、資本さえ用意できれば経済は成長するはず」と考えると、見えるものもみえなくなってしまう。まあ、理由はよく分からなくても、効く薬は用いられるということなのだがね。 昨日の日経には、「対内直接投資が北朝鮮より少なく情けない」という話が出てくるが、日本に低賃金はないし