米国の歴史学者アーネスト・メイ(1928-2009)は、1973年の著書「LESSONS OF THE PAST : The Use and Misuse of History in American Foreign Policy(「歴史の教訓 アメリカ外交はどう作られたか」(中央公論社1977年刊、2004年岩波現代文庫より再刊))」で、アメリカの外交において、政策決定者たちはその決断の際に過去の歴史から類推して参考にし、多くの場合その類推は誤用であったということを解き明かしている。それは以下の二つの特徴として現れるという。 1) 外交政策の形成者は、歴史が教えたり予告したりしていると自ら信じているものの影響をよく受ける。(序文iiiより) 2) 政策形成者は、歴史の中に類推を求める時、自らがまず思いついたことに囚われてしまいがちである。彼らは、歴史の類推例を広範囲にわたって探し出そう