「世界史の中のアラビアンナイト」西尾 哲夫 著

アラジン、アリババ、シンドバードの物語に代表されるアラビアンナイト（「千一夜物語」）。世界中で愛されるこの物語は九世紀頃バグダードで誕生し、各地の伝承を取り込みながら十八世紀に欧州に紹介された後、本来の姿から離れて独自の展開をたどるうちに世界文学として確立されていった。その変貌の過程を丁寧に辿ることで、アラビアンナイト成立史を通してヨーロッパとイスラームという異文化の邂逅、オリエンタリズムの増幅と、異文化を通して自文化を内省するオリエンタリズム的文学空間の創出という結実へと至る様を描く非常に面白い一冊。 現存する最も古い千一夜物語「アルフ・ライラ・ワ・ライラ」の記録は、1947年にエジプトで発見された。行政文書などに混じって発見された紙片には、現在の千一夜物語では語り手シェヘラザードの妹とされるディーナーザードが「楽しいお方」に話をねだる全体の冒頭部分である枠物語が書かれ、その余白にこの紙

[c_shiika]

「枠構造と千一夜という題名によってミーム化し、自己複製する物語群ってアリュージョニストっぽい」と、ドングリをばらまいてみる。

[hoozuki37]

空白が妄想の余地を産み、二次創作が盛り上がるという好例ですかね。神話かっての。

[snowstep]

“さて、「千夜一夜」なのに二百三十四夜分、後にガランが追加した「孤児の物語」分を長さごとに区切って夜数に含めても五百夜程度でしかないことから、続きがあるはずだと誰もが考えた。”

[sampaguita]

そういえば一部の有名な話しか知らないなぁと思っていたら、元から千もあるわけではなかったと。それでも結構な数だけど。

[hharunaga]

「シェヘラザードが知的にも性的にもとれるよう無個性な『…解釈の文化的背景によって、いかようにも変化する人物』として描かれていたことが、むしろ文明を越境する力をアラビアンナイトに与えた」

[maturi]

バートン版１巻目で挫折したわ

[machida77]

千夜一夜物語と歴史や偽本、伝播について。

[whkr]

それを題材にした日本の小説だと『アラビアの夜の種族』が、原典に負けず劣らず荒唐無稽で面白かったな。