ブックマーク / jiyugaoka-clweb.com (22)

  • 名著を読む:第5回 ピエロ・スラッファ | jiyugaoka contents lab

     イタリア出身で、その後イギリスで長く研究生活を送ったピエロ・スラッファは、不思議な魅力のある経済学者である。彼はケインズに才能を見出されてケンブリッジ大学へ招聘されることになるが、その時点で経済理論に関する論文といえば、「生産費用と生産量の関係について」(1925年)と「競争的条件の下での収穫の法則」(1926年)のイタリア出身で、その後イギリスで長く研究生活を送ったピエロ・スラッファは、不思議な魅力のある経済学者である。彼はケインズに才能を見出されてケンブリッジ大学へ招聘されることになるが、その時点で経済理論に関する論文といえば、「生産費用と生産量の関係について」(1925年)と「競争的条件の下での収穫の法則」(1926年)の二つしかなかった[1]。だが、イギリスで圧倒的な権威をもっていたマーシャル経済学の欠陥を突いた二つの論文は、リチャード・カーンやジョーン・ロビンソンのようなケイン

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    ystt 2015/04/06
  • 占拠されたLSE | jiyugaoka contents lab

     日ではほとんど全く報道されないが、経済学ランキングでは、つねにケンブリッジやオックスフォードと並ぶか、ときに凌駕するほどのLSE(London School of Economics and Political日ではほとんど全く報道されないが、経済学ランキングでは、つねにケンブリッジやオックスフォードと並ぶか、ときに凌駕するほどのLSE(London School of Economics and Political Science)の中央管理室が、3月17日、学生たちに占拠された。私は主要紙では『ガーディアン』紙(電子版)の記事で知った[1]。彼らは、“profit-driven and bureaucratic business model of higher education”、つまり高等教育が利潤動機で官僚的なビジネス・モデルによってなされることに異議を唱え、「ロンドン

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    ystt 2015/04/01
  • 名著を読む:第4回 ロイ・ハロッド       | jiyugaoka contents lab

     ロイ・ハロッドは、ケインズの最初の伝記を書いた愛弟子で、経済学の分野での業績では何よりも経済動学の開拓者として有名である。だが、同じ愛弟子でも、ケンブリッジ内部のジョーン・ロビンソンやリチャード・カーンなどとは違っている。ハロッドは、もともとオックスフォード大学ニュー・カレッジで歴史を学んだが、紹介状をもってケインズロイ・ハロッドは、ケインズの最初の伝記を書いた愛弟子で、経済学の分野での業績では何よりも経済動学の開拓者として有名である。だが、同じ愛弟子でも、ケンブリッジ内部のジョーン・ロビンソンやリチャード・カーンなどとは違っている。ハロッドは、もともとオックスフォード大学ニュー・カレッジで歴史を学んだが、紹介状をもってケインズに会ったのは、二年間の大陸留学が許されたので、ケインズに留学先の相談をするためだった。ところが、ケインズは、ハロッドに対して、大陸に渡るよりは、自分のところで経済

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    ystt 2015/03/20
  • 名著を読む:第3回 ジョーン・ロビンソン | jiyugaoka contents lab

     第二次世界大戦後、経済学の中心はアメリカに移り、前回取り上げたようなサムエルソンに代表される新古典派総合の経済学が長いあいだ支配的だったが、そのサムエルソンを批判し続けたのが、イギリスのケンブリッジ大学でケインズの教えを受けた女性経済学者ジョーン・ロビンソンである。彼女は何度もノーベル経済学賞の候補になったが、あまり第二次世界大戦後、経済学の中心はアメリカに移り、前回取り上げたようなサムエルソンに代表される新古典派総合の経済学が長いあいだ支配的だったが、そのサムエルソンを批判し続けたのが、イギリスのケンブリッジ大学でケインズの教えを受けた女性経済学者ジョーン・ロビンソンである。彼女は何度もノーベル経済学賞の候補になったが、あまりに左派的な言動が災いしてその栄冠に輝くことはなかった。しかし、みずから「左派ケインジアン」を名乗り、ノーベル賞級の学者たちを相手に進んで論争を挑んだ彼女にとって、

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    ystt 2015/03/06
  • サー・サイモン・ラトル、ロンドン響の音楽監督へ  | jiyugaoka contents lab

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    ystt 2015/03/04
  • イグナシオ・パラシオス=ウェルタ編『経済学者、未来を語る』小坂恵里訳(NTT出版、2015年) | jiyugaoka contents lab

    イグナシオ・パラシオス=ウェルタ編 『経済学者、未来を語る』小坂恵里訳 (NTT出版、2015年)   経済学者やエコノミストの予測はほとんど当たらないというのが相場だが、100年先の未来ともなれば、なおさらその「精度」は落ちるかもしれない。書は、有名なケインズが大不況の最中に発表した「わが孫たちイグナシオ・パラシオス=ウェルタ編『経済学者、未来を語る』小坂恵里訳(NTT出版、2015年) on 2015年3月2日 • 17:27 イグナシオ・パラシオス=ウェルタ編 『経済学者、未来を語る』小坂恵里訳 (NTT出版、2015年) 経済学者やエコノミストの予測はほとんど当たらないというのが相場だが、100年先の未来ともなれば、なおさらその「精度」は落ちるかもしれない。書は、有名なケインズが大不況の最中に発表した「わが孫たちの経済的可能性」(1930年)にヒントを得て編まれた論文集であ

    イグナシオ・パラシオス=ウェルタ編『経済学者、未来を語る』小坂恵里訳(NTT出版、2015年) | jiyugaoka contents lab
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    ystt 2015/03/03
  • シベリウス生誕150年 | jiyugaoka contents lab

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    ystt 2015/02/24
  • 名著を読む:第2回 ポール・A・サムエルソン       | jiyugaoka contents lab

     ヒックスは、フランク・ハーンによれば[1]、1946年をアメリカ経済学隆盛のターニング・ポイントと見なしていたらしい。そして、第二次世界大戦後のアメリカ経済学界において大きな影響力をふるったのがポール・A・サムエルソンであったことに異議を唱えるひとはほとんどいないだろう。 だが、多くの証言があるように、サムエルヒックスは、フランク・ハーンによれば[1]、1946年をアメリカ経済学隆盛のターニング・ポイントと見なしていたらしい。そして、第二次世界大戦後のアメリカ経済学界において大きな影響力をふるったのがポール・A・サムエルソンであったことに異議を唱えるひとはほとんどいないだろう。 だが、多くの証言があるように、サムエルソンの名前は、戦前のシカゴ大学での学部生時代から「恐るべき子供」として有名であり、その後ハーヴァード大学の大学院生やジュニア・フェローの時代を通じても変わらなかった。期待

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    ystt 2015/02/20
  • 名著を読む:第1回 ジョン・ヒックス | jiyugaoka contents lab

     経済学の世界でジョン・ヒックスといえば、名著『価値と資』(初版は1939年)で有名なイギリスの経済学者だが、インターネットが普及するようになって彼の名前で検索してみると、アメリカ人で同姓同名のジャズ・ピアニストがしばしばヒットすることに気づいた。経済学辞典をめくっている限りは決して辿り着かない偶然の一致である。経済学の世界でジョン・ヒックスといえば、名著『価値と資』(初版は1939年)で有名なイギリスの経済学者だが、インターネットが普及するようになって彼の名前で検索してみると、アメリカ人で同姓同名のジャズ・ピアニストがしばしばヒットすることに気づいた。経済学辞典をめくっている限りは決して辿り着かない偶然の一致である。 もっとも、ヒックスの初期の著作は、John Richard Hicksという名前で登場しているので、正確には同じではない。だが、のちにも触れるが、ヒックスは、ある段階か

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    ystt 2015/02/06
  • ムーティ=シカゴ響、キューバでの演奏を希望 | jiyugaoka contents lab

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    ystt 2015/02/03
  • 前島良雄『マーラーを識る神話・伝説・俗説の呪縛を解く』(アルファベータ、2014年) | jiyugaoka contents lab

    前島良雄『マーラーを識る 神話・伝説・俗説の呪縛を解く』 (アルファベータ、2014年) グスタフ・マーラーは、現在、クラシック音楽の世界で最も人気のある作曲家のひとりである。自分がもっているマーラーの交響曲全集だけでも両手では数えられないから、プロや熱烈なファンならもっとたくさんの全集を聴いてきたに違いない。し前島良雄『マーラーを識る 神話・伝説・俗説の呪縛を解く』 (アルファベータ、2014年) グスタフ・マーラーは、現在、クラシック音楽の世界で最も人気のある作曲家のひとりである。自分がもっているマーラーの交響曲全集だけでも両手では数えられないから、プロや熱烈なファンならもっとたくさんの全集を聴いてきたに違いない。しかし、書は、マーラーの「標題」付の交響曲やマーラーについてあたかも「定説」であるがごとく語られていることの多くが誤解か全くの誤りであることを解き明かそうとした野心作であ

    前島良雄『マーラーを識る神話・伝説・俗説の呪縛を解く』(アルファベータ、2014年) | jiyugaoka contents lab
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    ystt 2015/01/23
  • 「ピケティ旋風」は続く | jiyugaoka contents lab

    パリ経済学校の人気教授トマ・ピケティ氏がNHKのEテレ「白熱教室」に登場し、好評を博しているようだ[1]。一年前には考えられなかった現象だ。もちろん、世界的なベストセラーになった彼の話題作『21世紀の資』(2013年、日語版はみすず書房刊)のおかげであることは言うまでもない。1月末には、日でもシンポジウムが予定さパリ経済学校の人気教授トマ・ピケティ氏がNHKのEテレ「白熱教室」に登場し、好評を博しているようだ[1]。一年前には考えられなかった現象だ。もちろん、世界的なベストセラーになった彼の話題作『21世紀の資』(2013年、日語版はみすず書房刊)のおかげであることは言うまでもない。1月末には、日でもシンポジウムが予定されている[2]。 ピケティはフランスの経済学者である。しかし、昨年、英語版が出版されると、ポール・クルーグマンやジョセフ・スティグリッツのようなリベラルでノーベ

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    ystt 2015/01/23
  • 古典を読む:第10回 レオン・ワルラス | jiyugaoka contents lab

     レオン・ワルラスは、シュンペーターが「経済理論」に関する限り「最も偉大である」(the greatest)と絶賛したフランスの経済学者である[1]。欧米語では最大級を使うときも、”one of theレオン・ワルラスは、シュンペーターが「経済理論」に関する限り「最も偉大である」(the greatest)と絶賛したフランスの経済学者である[1]。欧米語では最大級を使うときも、”one of the greatest”という場合が多いが、シュンペーターの表現は例外に近い。『経済発展の理論』の日語版への序文には、「ワルラスに対して、われわれは、経済体系の概念と、われわれの学問の歴史において初めて経済諸量間の相互依存の純粋論理を有効に包含する理論的装置を負うている」という文章が見られるが[2]、シュンペーターの経済学史観では、誤解を恐れずに言えば、ワルラスの一般均衡理論という高みにどれほど近

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    ystt 2015/01/14
  • 古典を読む:第9回 ヨゼフ・アロイス・シュンペーター | jiyugaoka contents lab

     シュンペーターがケネーをワルラスやクルノーとともに極めて高く評価していたことは前回述べた通りだが、シュンペーターは、遺作『経済分析の歴史』(1954年)のなかで、ケネーと重農主義者たちが経済学歴史上はじめて「学派」を形成したと捉えている[1]。重農学派に匹敵するのは、「正統派マルク主義者たち」と「正統派ケインジアンシュンペーターがケネーをワルラスやクルノーとともに極めて高く評価していたことは前回述べた通りだが、シュンペーターは、遺作『経済分析の歴史』(1954年)のなかで、ケネーと重農主義者たちが経済学歴史上はじめて「学派」を形成したと捉えている[1]。重農学派に匹敵するのは、「正統派マルク主義者たち」と「正統派ケインジアンたち」の二つがあるのみで、いずれも師匠の教えに対する忠誠とその伝道によって特徴づけられると。シュンペーター自身は学派をつくれなかったが、皮肉にも、「経済学史家」と

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    ystt 2015/01/09
  • ポール・デイヴィッドソン『ケインズ』小谷野利夫訳(一灯舎、2014年) | jiyugaoka contents lab

    ポール・デイヴィッドソン『ケインズ』小谷野利夫訳 (一灯舎、2014年)   著者はアメリカを代表する「ポスト・ケインジアン」のひとりだが、「ポスト・ケインジアン」という言葉は少し注釈を必要とする。第二次世界大戦後、「ポスト・ケインジアン」とは、文字通り「ケインズ以後の」というくらいの意味で使われていポール・デイヴィッドソン『ケインズ』小谷野利夫訳 (一灯舎、2014年) 著者はアメリカを代表する「ポスト・ケインジアン」のひとりだが、「ポスト・ケインジアン」という言葉は少し注釈を必要とする。第二次世界大戦後、「ポスト・ケインジアン」とは、文字通り「ケインズ以後の」というくらいの意味で使われていた。この用語法では、ロイ・ハロッドもポール・サムエルソンもジョーン・ロビンソンも皆「ポスト・ケインジアン」だが、現在、「ポスト・ケインジアン」は違う意味で使われている。 戦後長い間アメリカで主流派の

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    ystt 2014/12/26
    「リーマン・ショックのような金融危機が起こるたびに人々が『ケインズ』の名前を思い出すのは、ケインズ経済学が現代でも過去のものとはなっていないことを暗示しているのではないだろうか。」
  • 古典を読む:第8回 フランソワ・ケネー | jiyugaoka contents lab

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    ystt 2014/12/25
  • 古典を読む:第7回 アダム・スミス | jiyugaoka contents lab

     アダム・スミスといえば『国富論』(1776年)と反射的に出てくるほど、「経済学の父」としてのスミスの名声は絶大である。だが、有名であればあるほど、彼の思想が誤解を招きやすいキーワードで受験勉強のように「記憶」されるのは残念なことである。彼は巷の解説書では市場メカニズムによる「予定調和」を説いた「自由放任主義者」となっアダム・スミスといえば『国富論』(1776年)と反射的に出てくるほど、「経済学の父」としてのスミスの名声は絶大である。だが、有名であればあるほど、彼の思想が誤解を招きやすいキーワードで受験勉強のように「記憶」されるのは残念なことである。彼は巷の解説書では市場メカニズムによる「予定調和」を説いた「自由放任主義者」となっているが、その際に出てくるキーワードが「見えざる手(invisible hand)である。しかし、「見えざる手」が『国富論』のどのような文脈で登場するのかを正確に

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    ystt 2014/12/19
    「スミスは『企業活動の自由』を称賛した者としてビジネスマンに人気が高いが、ところが、スミスは、資本家にはつねに監視の目を光らせておかなければ、『フェアプレイ』の精神を侵害しかねないとみていたのである」
  • 古典を読む:第6回 デイヴィッド・リカード | jiyugaoka contents lab

    デイヴィッド・リカードは、若き日のマーシャルが自らの「英雄」として尊敬していた経済理論家だが、リカードの『経済学および課税の原理』(初版は1817年)が古典派経済学のなかで最も体系的な構造をもっていたことは確かである。リカードは、たまたま避暑地で読んだアダム・スミスの『国富論』(1776年)がきっかけで「経済学」というデイヴィッド・リカードは、若き日のマーシャルが自らの「英雄」として尊敬していた経済理論家だが、リカードの『経済学および課税の原理』(初版は1817年)が古典派経済学のなかで最も体系的な構造をもっていたことは確かである。 リカードは、たまたま避暑地で読んだアダム・スミスの『国富論』(1776年)がきっかけで「経済学」という新興の学問に関心をもったのだが、スミスがときに歴史などに脱線しているのに対して、リカードはあくまで理詰めで押していく頭脳の持ち主だった。天才というのがふさわし

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    ystt 2014/12/10
  • ローマ歌劇場の危機、ムーティ、そしてレンツイ内閣の労働市場改革~『フルトヴェングラーの遺言』(野口剛夫著)を読みながら考える  | jiyugaoka contents lab

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    ystt 2014/12/06
  • ロバート・ライシュ『格差と民主主義』雨宮寛/今井章子訳(東洋経済新報社、2014年) | jiyugaoka contents lab

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    ystt 2014/12/03
    「本書は、『経済分析』というよりは、いわばガルブレイス流の『政治経済学』のよきサンプルと言ってよいが、アメリカではこのような経済学の伝統も決して消滅したわけではない。」