どうやって成長事業を見定め、衰退事業から経営資源を移していくか。これは日本企業にとっても大きなテーマだろう。 そのケーススタディーとなる企業の1つが、世界的な大手化学メーカーとして知られる米デュポンだ。身近な商品に使われる同社の技術としては、女性用ストッキングなどの素材であるナイロンや、鍋やフライパンを焦げ付きにくくするテフロンがよく知られる。 「日経ビジネス」6月2日号では、そのデュポンを特集した。 今年で創業212年となる同社は、安全に対するこだわりの強い会社としても知られる。今回はデュポンの安全への徹底ぶりを示すエピソードとその背景を紹介する。 「急がなくていいから、手すりをつかんで」 日経ビジネス6月2日号特集「デュポン 200年企業が見る未来」の取材で、同社の拠点を訪れた際、待ち構えていた取材相手にかけられた第一声がこれだった。場所は駐車場から建物の玄関に上がるほんの数段しかない