大垣城で展示されている「おあむ物語」(複製)。女性たちが敵の首に化粧を施す挿絵が描かれている岐阜県大垣市を訪れると、地元のマスコットキャラクター「おあむちゃん」をよく見かける。モチーフになったのは慶長5(1600)年の関ケ原合戦の際、石田三成率いる西軍の拠点となった同市の大垣城にいた、おあむという名の女性だという。彼女が語った内容を後世、書き起こしたとされる「おあむ物語」は女性目線で語られた戦記文学で、当時の戦場の姿を生々しく伝える。おあむは大垣がたどった歴史の語り部として今も生き続けている。 敵の首に化粧おあむは西軍を率いた石田三成の家臣、山田去暦の娘で、関ケ原合戦当時は17歳だったとみられている。晩年に周囲の子供たちにせがまれて話した昔話を聞いた人たちによって、関ケ原合戦から110年余りを経た江戸前期の正徳年間(1711~16年)に書き起こされたとされるのが、「おあむ物語」だ。