結論から書くが、本書は、音楽鑑賞、読書、アニメの鑑賞、スポーツ、ファッション等々……の、いわゆる娯楽的に行われる「趣味(hobby)」について、なんらかの学術的な方法で分析をしたいと思っている人なら、迷わず読むべきものである。 本書の優れた点は大まかに三つある。一つめは、社会学の領域で趣味を分析するにあたり、ブルデューの方法論についての批判を根本的に行っている点だ。 人々の「趣味(hobby)」についての理論や、統計的な分析の先行研究の中で、最も重要なのはピエール・ブルデューの『ディスタンクシオン』(1979=1990)だろう。特に彼の「文化資本」という概念は、家庭環境や趣味活動などの違いによって生じる、集団間の文化の違いと、それによって起きる様々な格差を説明する便利な言葉として、日常的に使用されつつあるように思う。ブルデューとはアプローチが全く異なるが、現代日本での統計的調査に基づく趣味
![金田淳子(2017.05.16)「すべての腐女子と、おたくと、学生に読んでほしい本――北田暁大・解体研[編著]『社会にとって趣味とは何か』書評」|Web河出](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/70598600256139ed02adfe57e27162ee1363f3d7/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fweb.kawade.co.jp%2Fwp-content%2Fuploads%2F2017%2F03%2F9784309625034.jpg)