南仏のアルルに1900年前に造られた古代ローマ時代の闘技場で、砂ぼこりを巻き上げながら剣闘士の戦いを再現する二人。何世紀にもわたってローマ人を魅了した古代のスポーツの謎に迫るには、こうした試みも役立つ。(PHOTOGRAPH BY BYRÉMI BÉNALI) 大観衆の前で、手に汗握る戦いを繰り広げた古代ローマの剣闘士。「グラディエーター」としても知られる彼らはどのような日常を送っていたのか。研究から、映画や小説とは違う姿が見えてきた。 第I章:フランス アルル 南フランスにある古代ローマの円形闘技場。 砂を敷いた地面に地中海の強烈な日差しが照りつける。そこから地下の薄暗いトンネルに下りると、ひんやりした空気が肌に心地よい。 だが、ほっとしたのもつかの間、顔まで覆う兜(かぶと)を渡された。かぶると、熱が籠もって息苦しい。ほぼ2000年前にローマの剣闘士が使った兜のレプリカで、へこみがあり、