「これ以上、わたし頑張れませんーー」 ことばにつまりながらそう話したのは、就職氷河期に大学を卒業して以来、「非正規公務員」として働き続ける女性です。 「突然、給与が減らされる」「この先、働き続けられるか分からない」「抜け出したいけど抜け出せない」 取材班に寄せられた非正規公務員の声です。(「非正規公務員」取材班・ネットワーク報道部記者 國仲真一郎 水戸放送局記者 齋藤怜)
日本で生活していても簡単な日本語の読み書きができない人たちはどれくらいいるのか。国内ではこうした識字調査は戦後の占領下で行われてから70年以上実施されていません。しかし近年、不登校の子どもたちや親の仕事の都合で来日する外国籍の子どもたちが増えていることを受けて専門家が実態調査に動き出しました。 しかし近年、不登校や親による虐待などで、学校に通えないまま卒業した人たちや、親の仕事の都合で来日する外国籍の子どもたちが増加していることを受けて、日本語の調査研究を行っている国立国語研究所の野山広准教授らのチームが実態を調査することになりました。 調査は全国で設置が進む「夜間中学」や地域の日本語教室などに通う16歳以上の日本人や外国人を対象に行われ、簡単な日本語の文章が理解できるかどうかなどを把握します。また、日常生活の聞き取りも行う方針です。 野山准教授は「日本人の教育だけでなく、今回は外国人も対
青森県沖で最新鋭のF35戦闘機が墜落した事故の原因について、航空自衛隊はパイロットが機体の姿勢を正しく認識できない状態に陥り、急降下していることに気付かなかった可能性が高いとする見解をまとめました。機体の不具合の可能性は極めて低いとして、航空自衛隊はF35の飛行再開を検討しています。 それによりますと、当時、一緒に訓練していた同型機に残された記録などから事故機の航跡を分析した結果、墜落直前の30秒余りの間に9000メートル以上の高度から、時速1000キロ前後の高速で一気に急降下していたことがわかりました。 この間、パイロットは急降下から回復しようとせず、緊急脱出を行った形跡も確認されなかったということです。 またパイロットはこの時、「訓練を中止する」とほかの機体に伝えていましたが、異常を知らせる交信はなかったことから、次の訓練メニューに移るための合図だったとみられるとしています。 こうした
公的年金の将来的な支給水準の見通しを示す年金財政の検証について、政府・与党内からは参議院選挙を前に結果を公表すれば争点化するおそれがあると懸念する声も出ていて、公表は選挙のあとにずれ込むのではないかという見方が強まっています。 5年ぶりとなることしの検証は、中長期の実質経済成長率がプラス0.9%からマイナス0.5%までの6つのケースを想定して行うほか、受給開始年齢を引き上げた場合の支給見通しなども試算することにしていて、政府・与党は検証結果を踏まえて制度改正に向けた議論を本格化させる方針です。 検証結果は5年前の前回は6月初旬に公表され、今回も5月から6月をめどに発表されるとみられていましたが、厚生労働省は「丁寧に作業を進めている」とし、具体的な公表時期は決まっていません。 政府・与党内からは、現役世代が減少し高齢化が進む中、将来の支給水準が現在よりも低くなることは確実で、参議院選挙の前に
大手製薬会社「龍角散」の法務担当の元部長が、「社長のセクハラ行為について調査したところ、不当に解雇された」と主張して、解雇の無効を求める訴えを東京地方裁判所に起こしました。会社側は「セクハラ行為はなかった」と反論しています。 訴えによりますと、去年12月、忘年会で社長が女性従業員に対してセクハラ行為を行ったとしています。 元部長は、女性従業員の聞き取りなど調査を進め、第三者によるハラスメントの相談窓口の設置を検討しようとしたところ、ことし3月、会社から解雇されたと主張しています。 元部長は、解雇の無効や、その後の給与の支払いを求める訴えを東京地方裁判所に起こしました。 一方、龍角散は、NHKの取材に対して「外部の弁護士に依頼して調査を行った結果、社長によるセクハラ行為は認められなかった。解雇については、セクハラに関する対応を問題視したのではなく、そのほかの一連の行動を総合的に判断した結果だ
法律の上限を上回る金利で女性に金を貸し付けたとして、大阪・千早赤阪村の36歳の職員が逮捕されました。 警察によりますと、金を貸す条件として性的な対価を要求する「ひととき融資」と呼ばれる行為をしていたということです。 逮捕されたのは、千早赤阪村の人事財政課主査、藤田祐容疑者(36)で、警察によりますと3年前からことしにかけ、20代と40代の女性2人に対して、法律が定める上限を大幅に上回る金利で金を貸し付けたとして出資法違反の疑いが持たれています。 警察によりますと、藤田主査はインターネットの掲示板を通じて女性と知り合い、金を貸していましたが、その融資の条件として性的な対価を要求する「ひととき融資」と呼ばれる行為をしていたということです。 調べに対して容疑を認め、「お金も返ってくるし、性的な行為もできてすばらしい融資だと思った」と供述しているということです。 職員が逮捕されたことを受け、千早赤
「ひきこもりである以前に、みんなと同じ悩みを抱えたひとりの人間なんです」 「40代以上の人間にとってこれから社会が変わろうと、絶望しか待っていないような気がします」 ひきこもりの当事者や経験者の声です。 川崎の殺傷事件に、東京・練馬の農林水産省の元事務次官が長男を刺した事件…。「ひきこもり」がキーワードになる事件が相次ぎ、ネットやマスコミには「ひきこもり」に関わる言説があふれています。 いま、当事者のひきこもりの人やその家族たちは何を思っているのでしょうか。(ネットワーク報道部記者 高橋大地 管野彰彦) 「川崎の事件、元事務次官の事件を受けていまさらひきこもりをどうにかしろという議論になり戸惑っています。仕事に就いていないことが悪みたいに報道されていましたが、挫折者にとって40代からの就労というのは地獄だと思います。なぜ日本は働こうとすると要求されるスキルが高いのか、考えるだけでつらいです
対人関係を築くことが苦手な「自閉症スペクトラム障害」の患者に、愛情を高めるホルモンとして知られる「オキシトシン」を投与すると症状が改善する傾向を示したと、浜松医科大学などの研究グループが公表し、「薬の開発につながる成果だ」としています。 静岡県浜松市にある浜松医科大学などの研究グループは、愛情を高めるホルモンとして知られる「オキシトシン」を患者に6週間投与してコミュニケーション能力の指標の1つである会話中の喜びや驚きなどの表情の豊かさを画像解析で数値化し、投与していない患者との差を分析しました。 その結果、オキシトシンを投与した患者は、投与されていない患者よりも表情の豊かさの値が0.41から0.53高く、投与を終えて2週間経過しても1.24高くなったということです。
川崎市内の警察署で取り調べ中に容体が急変し先月から意識不明の重体となっていた21歳の男子大学生が1日午後、死亡しました。当時、警察官数人が大学生の体を押さえるなどしていたということで、神奈川県警は「詳しい状況を調査する」としています。 警察が大学生の身柄を警察署に移して取り調べていたところ、容体が急変して意識を失い、病院で治療を受けていましたが、1日午後3時ごろ死亡したということです。 警察によりますと取り調べの際、大学生が暴れるなどしたため警察官数人が体を押さえるなどしていたということです。 神奈川県警は「警察官が押さえたことと、容体の急変との間に関係があったのかなど、詳しい状況を調査する」としていて、死因や詳しいいきさつを調べることにしています。
京都市内で1人暮らしの25歳の男性が生活するために必要な費用は、娯楽費などを含めて1か月あたり24万5000円余りで、今の最低賃金で得られる収入とは大きな差があるという試算を労働団体がまとめました。 京都総評=京都地方労働組合総評議会は、府内で働く組合員などを対象にアンケートを行い、最低賃金の影響を受けやすい10代から30代の1人暮らし400人余りの生活費や持ち物などについて分析しました。 その結果、「京都市北区に住む25歳の男性の単身世帯」を想定した場合、1か月に必要な生活費の試算は24万5785円になったということです。 これには食費や家賃など最低限の生活費のほか、「普通に暮らしていくために必要な水準」として、映画鑑賞などの娯楽費に月8000円、それに帰省にかかる旅行費用なども含まれています。 週5日で1日8時間、お盆や正月などには連休も取得し、ひと月平均で150時間働くと仮定すると、
28日、川崎市でスクールバスを待っていた小学生らが包丁で刺され19人が死傷した事件。犯罪心理学が専門の筑波大学の原田隆之教授は、「岩崎容疑者がより深く突き刺せる包丁を4本も周到に用意していたことに驚いた。破壊的な衝動やうっぷんなどが一挙に爆発したのではないか」と分析しています。 原田教授は、「これがいちばんの目的だったと考えられる。関係のない第三者を巻き込んで自殺することでより社会の耳目を集めるというゆがんだ自己顕示欲のような心理が働いたことが推測できる」と述べています。 一方、原田教授は、『拡大自殺』という行動は過去の通り魔事件でもみられるものの、ほとんどが20代か30代で事件を起こしているとして、「今回、いちばん不思議に感じている点で、攻撃性というものは一般的には20代か30代辺りがピークで、50代になると急激に犯罪も少なくなる。なぜ、この年齢になるまで攻撃性や負のエネルギーを蓄えてい
その乗客は、運転席のすぐ脇で罵声を浴びせ続けてきました。会社に押しかけて来て、大声でどなり続け、謝っても謝ってもずっと謝罪を求めてきました。「またあの人がバスに乗ってくるんじゃないか…」そう思うと、眠れなくなり、乗務できなくなりました。カスタマーハラスメント(カスハラ)は働く人たちの心に大きな傷を残してしまうほどの深刻な被害をおよぼしています。 (ネットワーク報道部記者 和田麻子) 「ブレーキがきついんだよ!」 首都圏のバス会社に勤務する40代の運転手、山本さん(仮名)は乗客から、突然、こうどなられました。これまでもクレームは経験したことがありましたが、運転席のすぐ脇まで来て、しかもどなられるというのは初めてでした。 その乗客は一見、どこにでもいるような中年の男性。ただ、そのあまりのけんまくに、「危害を加えられるかも」と身の危険を感じるほどのものでした。どう対処していいかわからず、とにかく
メキシコの司法当局は成田空港に向かう旅客機の機内で死亡した日本人の男性の体内からコカインが入った袋、246個が見つかったと発表し、男性が密輸に関与した可能性があるとみて詳しい経緯を捜査する方針です。 コカインは246に上る袋に小分けされていて、死因は薬物の過剰摂取によるものとみられています。 地元当局によりますと、死亡したのは42歳の男性で、南米コロンビアの首都ボゴタからメキシコシティーに入り、今月24日に成田空港に向かう旅客機の機内でけいれんを起こし、その後、死亡が確認されたということです。 当局は、男性がコカインの密輸に関与した可能性があるとして、今後、連邦政府と協力して詳しい経緯を捜査する方針です。 メキシコシティーにある日本大使館は「現在、事実関係を調査中だ」としています。
スイスのジュネーブで開かれているWHO=世界保健機関の総会で、心と体の性が一致しない性同一性障害について、「精神障害」の分類から除外することで合意しました。性同一性障害の人たちがこれまで受けてきた差別が解消され、社会の理解へとつながるのか注目されます。 この中で、心と体の性が一致しない「性同一性障害」について、これまでの「精神障害」の分類から除外し、その名称を「性別不合」に変更しました。 そのうえで、WHOは、障害と分類されなくても、当事者が望めば生殖能力をなくす手術などの医療行為を受ける権利は保障されるべきだとしています。 デンマークの代表は「精神障害の分類から除外したことは、あらゆる人たちが尊厳のある生活を送ることにつながる大きな一歩だ」と述べ、今回の変更を歓迎しました。 性同一性障害の人たちが、「障害」とされることによって受けてきた差別が解消され、社会の理解へとつながるのか注目されま
黒澤明監督の映画「羅生門」など、出演した映画が国際映画祭で次々と賞を取り、「グランプリ女優」とも呼ばれた俳優の京マチ子さんが、12日、心不全のため東京都内の病院で亡くなりました。95歳でした。 京マチ子さんは大正13年に大阪で生まれ、昭和11年、13歳で大阪松竹少女歌劇団、現在のOSK日本歌劇団に入り、華麗なダンスで人気を集めました。 その後、映画の世界に転じ、ベネチア国際映画祭で日本で初めてグランプリを受賞した黒澤明監督の「羅生門」で、三船敏郎さん演じる盗賊に襲われる侍の妻を演じ、一躍トップ女優となりました。 その後も、溝口健二監督の「雨月物語」がベネチア国際映画祭の銀獅子賞に、また、衣笠貞之助監督の「地獄門」がカンヌ映画祭でグランプリを受賞するなど、出演した作品が海外の映画祭で数々の賞を受賞して「グランプリ女優」とも呼ばれ、美しい容姿とあでやかさを兼ね備えた演技で国際的にも人気を集めま
柔軟な働き方の実現に向けて副業や兼業を推進するため、政府の規制改革推進会議は、複数の職場で働く人の労働時間を合計して管理するのではなく、それぞれの職場ごとに管理できるよう、制度の見直しを検討することになりました。 そのうえで、今の制度では、複数の職場で働く人の労働時間が、合計して1日8時間、週40時間の法定労働時間を上回った場合、副業にあたる事業主が時間外の割り増し賃金を支払うことになっているのを改め、それぞれの職場ごとに管理するよう見直すべきだとしています。 また、30日以内の「日雇い派遣」は、副業として、年収が500万円以上の人に限って認められていますが、所得の低い若者が副業できなくなっているとして、年収の要件を引き下げるよう求めています。 規制改革推進会議は、10日の会合で報告書について議論し、来月まとめる答申に盛り込むことにしています。
全国の救急医療の現場で、画像診断を行ったのに病気が見落とされるなどして治療につながらなかったケースが相次ぎ、去年までの3年間で合わせて12人の患者が死亡していたことがわかりました。 それによりますと、救急医療の現場でCTやエックス線の画像診断を行ったのに病気が見落とされるなどして治療につながらなかったケースが相次ぎ、合わせて12人の患者が死亡していたということです。 その内訳を見ますと、画像診断で緊急性の高い病気を見落としていたケースが7人、画像診断で病気が見つかったのに別の担当医師がその報告書を確認していなかったケースが2人などとなっています。 鮮明な画像を一度に大量に撮影できるCTの画像診断は病気の早期発見につながっていますが、画像診断の専門医が少ないなど体制が追いついていないとも指摘されています。 日本医療安全調査機構は、患者側が心がけることとして、「特に救急の場合は、すべての画像に
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