朝日新聞社は6日、広島市内のホテルで開かれた安倍晋三首相の記者会見で、追加質問をしようとした同社の記者が首相官邸報道室の職員から右腕をつかまれたとして、報道室に抗議した。同社によると、予定されていた4問目の質問が終わった後、記者が座ったまま右手を挙げて「総理、まだ質問があります」などと呼びかけたと…
香港各紙は5日、公立図書館が民主派の一部の著作について閲覧と貸し出しを禁じたと報じた。香港政府は、「独立」や「革命」などの主張を禁じる国家安全維持法(国安法)の施行が理由だと説明しており、早くも言論統制が始まったとみられる。今後は出版物への検閲も予想され、出版業関係者からは「海外での製本を検討する必要がある」との声が出ている。 香港紙によると貸し出し禁止対象は、▽民主活動家、黄之鋒氏の著作2冊▽民主派立法会議員、陳淑荘氏の著作1冊▽香港の「完全な自治」を主張してきた作家、陳雲氏の著作6冊――の計9冊。香港全土の公共図書館でこの9冊は計約380冊あるが、いずれもホームページで検索すると「検査中」との表示が出て、閲覧や貸し出しができない状態となっている。
東京都知事選で「日本のサンダース」と呼ばれている候補がいると聞いた。弁護士の宇都宮健児氏(73)だ。米上院議員のバーニー・サンダース氏(78)は、前回の米大統領選の民主党予備選で一大旋風を起こした人物。今回の予備選にも出馬し、国民皆保険や公立大の授業料無料化などを訴えて若者の熱狂的な支持を得た。今回、宇都宮氏は3回目の立候補だ。サンダース氏のような「旋風」は起こっているのだろうか。【大迫麻記子/統合デジタル取材センター】 もの静かな聴衆 選挙戦初日の第一声。選んだ場所は、都庁の前だった。宇都宮氏は2012年、初めて都知事選に立候補し落選。以降、都政の諸課題を知ろうと、都議会の傍聴を続けている。ここを選んだのは「今度こそは」という強い思いの表れかもしれない。 曇天のもと、ネクタイを締めたスーツ姿でマイクを握った宇都宮氏。まず発したのは、やはり新型コロナウイルスについてだった。 「コロナ災害に
新型コロナウイルスが社会や経済に大きな影響を与えている。人と経済が東京に過度に集中するという、日本が抱える弱点が改めて浮き彫りになっている。 先月末、都市部から地方への移住に関心を持つ人たちの相談に自治体が応じるイベントがオンライン方式で開かれた。急な開催だったが、若者を中心に約170人が参加し、盛況だった。 山口県周防大島町で地域おこしに取り組む泉谷勝敏さんが企画した。「これまで移住に興味を持っていた人が、新型コロナを契機に具体的に検討し始めているようです」と手応えを語る。 日本の人口が減少する中でも、東京都の人口は増え続け、ついに1400万人に達した。東京都と神奈川、千葉、埼玉3県の東京圏だけで人口や国内総生産(GDP)の約3割を占める。 若者に意識変化の兆し このいびつな構造が、コロナ対策を進めるうえでも足かせになっている。 たとえば満員電車だ。テレワークが広がっても、経済活動が活発
京都大職員組合が2年前と同じ場所に設置した掲示ボード=京都市左京区で2020年6月16日午後0時46分、福富智撮影 京都大が本部のある吉田キャンパス(京都市左京区)周囲の立て看板(タテカン)を市の景観規制に従い撤去し、学生らが反発している問題で、京都大職員組合は16日、大学側に撤去されていた掲示ボードを、百万遍交差点付近に再び設置した。同組合は「大学は話し合いや交渉なしに一方的に撤去しており、不当・違法な措置だ」と主張している。ボードは同日夕、大学側に撤去された。 京大キャンパスの周囲に設置された「タテカン」は、京大の自由な学風の象徴とされる。しかし、屋外広告の規制条例に基づく市の指導を受け、大学側が2018年5月から撤去を進めている。
新型コロナウイルス感染症の治療薬について、日本医師会の有識者会議(座長=永井良三・自治医科大学長)は18日、「科学を軽視した判断は最終的に国民の健康にとって害悪」だとして、適切な臨床試験を経て承認の手続きを進めるよう求める声明を公表した。国が早期承認を目指す新型インフルエンザ治療薬「アビガン」を念頭に、拙速に特例的な承認を行うべきではないと提言した。 声明は、科学的根拠の不十分な候補薬について「有事だから良い、ということには断じてならない」と指摘。自然に回復する患者も多いため、症例数の多い臨床試験が必要だとした。妊娠中の女性が服用して胎児に重い先天異常を引き起こしたかつてのサリドマイド薬害も引き合いに「数々の薬害事件を忘れてはならない」と強い懸念を示した。
衆院内閣委員会で検察庁法改正案の審議中にタブレット端末でワニの動画を見る平井卓也・前科学技術担当相=2020年5月13日午前9時9分 検察官の定年延長を可能にする検察庁法改正案をめぐる13日の衆院内閣委員会で、委員の平井卓也・前科学技術担当相(自民)が、野党議員と担当大臣の質疑中に自身で持ち込んだタブレット端末で動物の動画を約5分見た。衆院事務局は質疑と無関係の動画を見る行為は「好ましくはない」としている。 委員会は午前9時から始まり、平井氏は同9分から約5分間、巨大なワニが歩いたり、大蛇にかみつかれたりする動画を見た。音声は出ていなかった。 閲覧したのは今井雅人氏(無所属)と武田良太行政改革担当相が激しく質疑を交わしていた最中で、平井氏はその後、目をつむった状態の姿勢を長く続け、委員会が続いていた午前10時20分に途中退室した。
早稲田大の門の柵に張られた構内立ち入りを禁止する掲示=東京都新宿区西早稲田の早稲田大で2020年5月8日、鈴木英生撮影 新型コロナウイルスに対する緊急事態宣言により、全国の大学は学内への立ち入り禁止やインターネットを使った遠隔授業の導入など、異例の対応に追われている。毎日新聞が全国66大学の教員111人にアンケート調査を実施した結果、現場は遠隔授業の準備や質の担保に困惑する一方、「『サイバー化』で実態を失いかねない」と、大学の意義が揺らぐことへの懸念の高まりが明らかになった。 アンケートは4月下旬、全国の国公私立大で活躍する研究者にメールで実施。政府の緊急事態宣言が大学へ与えている影響を聞いた。62%から回答を得た。
製薬会社のセミナーで講演する大学教授=奈良県内で2019年12月26日午後7時35分、熊谷豪撮影(画像の一部を加工しています) 全国の国公立大医学部教授ら少なくとも15人が2018年度、製薬会社から1000万円を超える講師謝金を受け取っていた。業界団体「日本製薬工業協会」に加盟する71社(関連会社含む)が公開した金額を毎日新聞が集計した。最多は2298万円で、講演を154回も引き受けていた。一般に国公立大教授の給与は年1000万円程度。本業以上の収入を禁じる大学もある中、15人は16年度にも1000万円を超えて受領しており、副業に励む医学部教授の実態が浮かび上がった。 製薬会社との癒着を生まないよう、教授など研究者には研究発表などの際、謝礼を受け取った会社を明示することが求められているが、金額は明らかにされていない。文部科学省の調査で16年度に講師謝金などについて1000万円以上受け取って
衆院予算委員会で質問する立憲民主党の議員に対し閣僚席から発言する安倍晋三首相(右)=国会内で2019年2月20日、川田雅浩撮影 子供に見せたくないなあ、と思ってしまった。深夜番組ではない。国会のテレビ中継である。6日の衆院予算委員会で、国民の範たるべき安倍晋三首相が、またも閣僚席から国会議員にヤジを飛ばしたのだ。これまでも物議を醸した首相のヤジや不規則発言だが、国会会議録を調べると出るわ出るわ、今年だけでその数、20回超……。【吉井理記/統合デジタル取材センター】 過去にも野党議員へのヤジで謝罪 6日のヤジは、立憲民主党などの会派に所属する今井雅人氏の質問中に発せられた。 加計学園問題を巡り、文部科学省が公表した文書に萩生田光一文科相が登場することから、萩生田氏に経緯を問う今井氏に、閣僚席の首相が「あなたが(文書を)作ったんじゃないの」とヤジった、とされる。当時の動画を見直すと、首相らしき
記者会見する「NHKから国民を守る党」の上杉隆幹事長=国会内で2019年8月16日午後1時7分、川田雅浩撮影 NHKから国民を守る党の上杉隆幹事長は16日の記者会見で、東京エリアのテレビ局「TOKYO MX」のプロデューサー宛てで立花孝志党首の「5時に夢中!」への出演を求める要望書を送付したと発表した。同番組に出演したタレントのマツコ・デラックスさんの発言に対し、立花氏が反論する機会を作るよう要求している。 同番組を巡っては、マツコさんが先月、N国について「気持ち悪い人たち」「ふざけて(票を)入れた人も相当いると思う」などと発言し、立花氏が反発。12日の同番組の生放送中、MXテレビ前で「投票した有権者をばかにするな」などと大声で批判した。さらに翌13日の会見では「(マツコさんが出演する)毎週月曜日(午後)5時にお邪魔する」と述べ、抗議活動を継続する考えを示している。
「日本の子供は一日の大部分を街中(まちなか)での運動に専心できるのである。子供は交通のことなどすこしもかまわず遊びに没頭する」。明治初めに来日したドイツ人学者は街を遊び場にする子供の群れに目を奪われた▲人力車や馬が遊びを邪魔せぬよう回り道をすることを子供たちは知っていたのだという。「かれらは大人からだいじにされるのに慣れている」。むろんこのドイツ人は庶民の家には子供が遊べる場所がないという事情にも触れている▲街中の道や空き地が遊び場だったというのなら、今の年配の世代の子供時代もそうだったよという方もおられよう。交通事情の変化や公園の整備は子供たちの外遊びを変えたが、今ではその外遊びそのものが絶滅の危機にあるらしい▲千葉大の研究室の調査によると小学生の7割以上が放課後に外遊びせず、1割以上が遊び仲間が一人もいなかった。調査は千葉市と宮城県気仙沼市などで行われたが、外遊びについては都市部も自然
公立福生病院(東京都福生市)で人工透析治療をしない選択肢を外科医(50)から提示された女性(当時44歳)が死亡した問題で、松山健院長が毎日新聞の取材に応じ、女性のケースについて「透析治療を含め、どういう状況下でも命を永らえることが倫理的に正しいのかを考えるきっかけにしてほしい」と話した。 2月下旬、病院内で応じた。亡くなった女性について松山氏は「いろいろな選択肢を与え、本人が(透析治療の中止を)選んだうえで意思を複数回確認しており、適正な医療だと考えている」と強調。「透析治療を受けない権利を患者に認めるべきだ」とする外科医や腎臓内科医(55)の主張に理解を示した。 病院は女性が透析治療を中止した際、日本透析医学会のガイドラインで設置が望ましいとされている倫理委員会を開いていない。松山氏は「普通の医療の一環だから、開く必要はなかった」と話す。理由については「(病院全体で)年間200~300人
東京都福生市と羽村市、瑞穂町で構成される福生病院組合が運営する「公立福生病院」(松山健院長)で昨年8月、外科医(50)が都内の腎臓病患者の女性(当時44歳)に対して人工透析治療をやめる選択肢を示し、透析治療中止を選んだ女性が1週間後に死亡した。毎日新聞の取材で判明した。病院によると、他に30代と55歳の男性患者が治療を中止し、男性(55)の死亡が確認された。患者の状態が極めて不良の時などに限って治療中止を容認する日本透析医学会のガイドラインから逸脱し、病院を監督する都は6日、医療法に基づき立ち入り検査した。
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