「少年は荒野をめざす」などの作品で知られる漫画家で、書評家としても活躍した吉野朔実さんが先月20日、病気のため亡くなりました。57歳でした。 繊細な線で描いた美しい絵と内省的な作品世界が特徴で、大学の寮を舞台に内気な女子大生と友人たちとの人間もようを描いた「月下の一群」で人気を確立しました。 その後も、昭和60年に連載を開始した代表作の「少年は荒野をめざす」では男に生まれたかった少女の心の内面をテーマにしたほか、「ジュリエットの卵」では双子の兄と妹の絆を描き、精神世界に向きあった数々の作品で多くの漫画家に影響を与えました。 吉野さんは文学への造詣(ぞうけい)が深いことでも知られ、「本の雑誌」で漫画で小説などを紹介する連載を長年にわたって続けるなど書評家としても活躍しました。 関係者によりますと、吉野さんは現在発売中の雑誌に読み切りの作品を発表し、次回作の構想を練るなど精力的に仕事を続けてい