世の中で起こる出来事というのはだいたい複雑で理解しがたいものでありますが、ただ「複雑だ複雑だ」と言ってるだけでは何も理解できないままで終わってしまいます。幸いなことに我々人間には、出来事の本質を取り出して簡単なモデルを作る能力があり、そのモデルを調べることで出来事の性質を理解することができます。モデルの作り方は色々あると思いますが、その一つに微分方程式を使うものがあります。たとえば、世の中の多くの出来事は「入ってくるもの」と「出ていくもの」、そしてそれに伴う「変化」からなっていますが、それを (変化)=(入ってくるもの)−(出ていくもの) という形の微分方程式であらわすことができます。このような形であらわされたモデルを力学系(Dynamical system)と呼びます。たいてい微分方程式は2本以上の連立微分方程式であり、そのほとんどは解を解析的な計算で求めることができない非線形力学系です