大学への研究費配分に関するネットワーク的考察 1.はじめに 最近、ネットワーク大学コンソーシアムの共同授業で私が担当した講義の中で、生命科学のネットワーク的考察による「まとめ」を試みたが、その過程でBarabasiらの業績を使って研究費配 分の日米比較を行ってみたところ(生命科学とは関係ないが)、意外な側面が見えてきたので、ここに別に紹介してみる。 2.2つのネットワーク 現在ネットワーク研究者や社会科学者の間で有名に なっているBarabasiらの業績を紹介する必要がある。NatureやScienceなどに2000年ごろより精力的にネットワーク分析について報告してきた彼らは、「Linked」という一般書を著わし、その 日本語訳がNHK出 版から2003年 の初めに「新ネットワーク思考」というタイトルで出版された。この本では、生命科学の分子レベルのネットワークから経済や社会的なネットワーク