世界的な人口増加に伴う穀物需要の高まりを背景に、遺伝子組み換え(GM)作物の栽培が拡大している。日本ではGM作物の食用の商業栽培は行われていないが、輸入されたGM作物がじわりと浸透している。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉参加もあいまってGM作物への関心は高い。その技術はどこまで進歩しているのか。 (石井那納子) サプリさながら 「食べるだけで頭が良くなる」「心臓疾患などの生活習慣病の予防にもつながる」…。こんな触れ込みの作物が次々と研究開発されている。豊富な栄養価などの付加価値をつけ、サプリメントのような効果を持つGM作物の“第2世代”。ターゲットは消費者だ。 開発したのは米国のバイオ化学メーカー、モンサント社。青魚に多く含まれている「オメガ3脂肪酸」を生成する、微生物の遺伝子を大豆に組み込んだ。「オメガ3脂肪酸は妊婦から乳児、高齢者まで各世代の健康維持増進に必要な栄養素