ヘレーン・ハンフ編著『チャリング・クロス街84番地 増補版』(江藤淳訳、中公文庫、2021)が出たので読んだ。 たしか四半世紀ぐらい前に旧版を読んでいるはずだが、細かいところは忘れていたので、新鮮な気持ちで読むことができた。 著者のヘレーン・ハンフはニューヨーク在住の作家。といっても当時はまだ有名な作家ではなく、テレビのシナリオや子ども向けの本を書いて糊口をしのいでいた。 そんな彼女の楽しみは読書なのだが、いつも読むのは英文学やギリシア・ローマの「古典」で、それも小説や物語よりもエッセイや日記を好む。古書が好きで、新刊本には見向きもしない。 しかし彼女の趣味を満たしてくれるような古書店が近くにはない。 そこで彼女は新聞に載っていた広告を頼りに、大西洋を隔てたロンドンの「チャリング・クロス街84番地」の絶版本専門の古書店「マークス社」に欲しい本のリストを送り、本を取り寄せることにした。194
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