不道徳的倫理学講義: 人生にとって運とは何か (ちくま新書) 作者: 古田徹也 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2019/05/07 メディア: 新書 この商品を含むブログを見る 西洋の倫理思想史の中でも「運」について言及している哲学者たちの思想を取り上げて、論じている本。 本全体のページ数のうちおよそ半分以上を古代ギリシャの思想の話題が占めており(『オイディプス』などの文学作品、プラトン、アリストテレス、ストア派)、近代の思想家に割かれている紙面は比較的少ない。これには、西洋の倫理思想では近代になるに近づくにつれて「運」の問題が取り上げられることが少なくなった(しかし、現代になって再び脚光を浴びている)という事情が表れている。 基本的には思想史の本なのだが、第10章とエピローグではバーナード・ウィリアズを中心に『グレート・ギャツビー』などの文学作品も取り上げながら、現代に生きる私