【北京・浦松丈二】バチカンと中国が長年の対立事項だった司教任命権問題で暫定合意に達し、歴史的な和解に至った。台湾と欧州で唯一外交関係を持つバチカンとの関係改善は、「一つの中国」の堅持に直結する懸案だ。台湾が外交関係を維持する国々にはキリスト教国が多く、バチカンが中国と関係正常化に踏み出せば、これらの国々が次々と中国になびく可能性が指摘されている。 このタイミングでバチカンを切り崩すことができれば、独立志向の強い台湾の蔡英文政権を追い詰めることができる。また、トランプ米政権が中国のウイグル族弾圧に批判を強めている中、和解は中国にとって宗教弾圧批判をかわす狙いもありそうだ。