文芸に関するyuta3_21のブックマーク (141)

  • 「女王陛下のユリシーズ号」は、スゴ本+徹夜小説

    狂喜セヨ、いや「狂気セヨ」なのかもしれない。それこそ狂気のように読んだ、もちろん徹夜。ただし、翌朝目が真っ赤になったのは、震えて泣きながら読んだから。 裏表紙の紹介文より―― 援ソ物資を積んで北極海をゆく連合軍輸送船団。その護送にあたる英国巡洋艦ユリシーズ号は、先の二度の航海で疲弊しきっていた。だが、病をおして艦橋に立つヴァレリー艦長以下、疲労困憊の乗組員七百数十名に対し、極寒の海は仮借ない猛威をふるう。しかも前途に待ち受けるのは、空前の大暴風雨、そしてUボート群と爆撃機だった… 鋼鉄の意志をもつ男たちの姿を、克明な自然描写で描破した海洋冒険小説の不朽の名作 しかしながら、レビューすることはほとんど無い。「凄絶な戦艦戦」とか「苛烈な自然の猛威」といった惹句を並べても自分で空々しい。書き口が「淡々+冷酷」、展開も容赦なし←これで充分。たとえば、きっと夢に見るだろうと恐れている場面(のひとつ)

    「女王陛下のユリシーズ号」は、スゴ本+徹夜小説
  • 「傀儡后」牧野修 | 族長の初夏

    美しくもグロテスクな想像力で「自己と世界の境界」の崩壊を描く、第23回日SF大賞受賞作。サイバーパンクのデジタルジャンク臭と生モノのぐにょぐにょ感を文章のすみずみまでみなぎらせた"テクノ・ゴシック"な作品世界は、既存品にたとえるなら「ブラッド・ミュージック」+「ニューロマンサー」の日版といった趣です。そっち系の小説が好きだけど、もっと病的でデカダンな感じのほうがより好み、というひとにはまさにジャストミートな作品。 ネット中毒者たちが五感の混淆をもたらすドラッグに溺れ、皮膚がゼリー化する奇病〈麗腐病〉が蔓延する現代のバビロン・大阪。その大阪で、20年前に隕石が落ちた爆心地を起点として、世界はじわじわと侵されはじめていた。地上のあらゆるものを「皮膚」と化すべく暗躍する女王・傀儡后をはじめ、さまざまな思惑と秘密を抱いて都市の薄皮一枚下に蠢く人間たち。街も人も、すべてを呑み込み、やがて世界は

  • 「ブラッド・ミュージック」はスゴ本

    わたしが知らないスゴは、魚蹴さんが読んでいた。あまりベタ誉めしない魚蹴さんが力強く推している[参照]のに惹かれて読了→参った、スゴい、まさかそこまで突き抜けるとは。amazonレビューはこんなカンジ… 遺伝子工学の天才ヴァージル・ウラムが、自分の白血球から作りだした“バイオロジックス”──ついに全コンピュータ業界が切望する生体素子が誕生したのだ。だが、禁止されている哺乳類の遺伝子実験に手を染めたかどで、会社から実験の中止を命じられたウラムは、みずから創造した“知性ある細胞”への愛着を捨てきれず、ひそかにそれを研究所から持ちだしてしまった… どこかで訊いたことがあるイントロ、予想通りに登場人物が動いてくれ、そしてバイオハザードな展開になるんだけど、なるんだけど、なるんだけど── っ ソコまで往くのかよ!と叫びだしたくなる(まだ半分もあるのに)。そして残り半分、実にイロイロな作品の原型を見た

    「ブラッド・ミュージック」はスゴ本
  • 「恐怖の兜」

    たいていのは読み始めて数頁たつと、面白さが肌感覚で分かる。だがこいつは違った。読み始めると頭ン中で警報が鳴りだした→こいつはとんでもないぞ、と。でもって、ちょっと変わった構成のお話にのめりこみ→「なんだこれは!」とガクゼンとするラストに犯られた。 amazonレビューがソソる。 「ここは、どこなんだ!?」そこは小さな部屋、あるのはベッドとパソコンだけ。仲間探しのチャットが始まる。呼びかけに応じたのは、男女八人――どうやら皆が迷い込んだのは、「恐怖の兜」をかぶった巨人の世界らしい。その正体は、牛の頭をもつ怪物ミノタウロス。この奇妙世界はミノタウロスの迷宮なのだ。そして彼らは救出の時を待つ。ミノタウロスを退治した、英雄テセウスを。しかしその脱出には驚愕の結末が… ミノタウロス神話をベースにしていることはすぐ分かるが、迷宮脱出のためのアリアドネの糸(スレッド)とチャットのスレッドがかけてあるの

    「恐怖の兜」
  • 劇薬小説「血と骨」

    スゴいというより、凄まじい小説を読んだ。 米光さん、オススメありがとうございます、1000ページをイッキ読み、「わたしが知らないスゴは、米光さんが読んでいた」というやつですな(米光さんのレビューは[ここ])。blogやってなかったら、一生知らなかった(知らずにすんだ、ともいう)劇薬小説にめぐりあえてホント、良かった。 ただし、読む人はご注意を。エンターテイメント性は一級かもしれないけれど、暴力と性描写が激しすぎる。没入すると我を忘れてしまう恐れあり。経験の浅い若い人が読むとアてられてしまうかも。例えばセックスの描写はこんなカンジ―― 英姫は急に意識が醒めていく のを感じた。金俊平の荒々しい力がまるで嵐のように英 姫の体を通過しようとしている。英姫は早く終わってほ しいと思った。 「どうした?」 と金俊平が英姫の顔を見た。英姫は顔をそむけて返事 をしなかった。英姫の愛液が乾き、あきらかに金

    劇薬小説「血と骨」
  • キャラの羞恥プレイを愉しむラノベ「ミッションスクール」

  • 志村、後ろ後ろ!「ロウフィールド館の惨劇」

    「読後感サイアクの小説を教えてください」でオススメいただいた「ロウフィールド館の惨劇」を読む。 このテの小説を紹介するとき気を使うのが、ネタバレ。肝心なトコを明かさないように、かつ、興味を持っていただくように書いているが、書はその心配が一切いらない。 なぜなら、冒頭で全てを明かしているから。 最初の2ページで殺人の動機、殺害方法、犠牲者、共犯者を記している。思わず「刑事コロンボ」を思い出す。こんなにバラしちゃってもいいのかしらん、という心配をよそに、作者は自信満々だ。ちなみに、こう始まっている。 では、分かってしまって面白くないのかというと、全く違う。むしろ、なぜ「読み書きができない」ことが一家惨殺になるのかを問いかけながら、ひきずり込まれるように読む。 わたしの「問いかけ」が分かるのか、作者は節々で応えてくれる。上手いんだ、これが。「もし、○○だったなら、惨劇は起こらずにすんだであろう

    志村、後ろ後ろ!「ロウフィールド館の惨劇」
  • わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: この本がスゴい2006

    今年は沢山の収穫があった。 自力で見つけた作品よりも、他力―― このblogが縁で知ったのほうが、はるかにスゴいものだった。コメントやトラックバックを通じてオススメしていただいた方、はてなの質問に回答していただいた方、わたしのエントリにケチつけたついでに「○○も読んでないくせに」と嘯いた方―― 皆さまに感謝、感謝。 そんな中でも選りすぐりを10選んだぞ。どれも自信を持ってオススメするが、「劇薬小説」だけは覚悟完了の上でどうぞ。これからも、「自分にとって高品質の情報を得るためには、自分から発信すること」を実現する場として、ここを使っていきたいですな。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――― 徹夜小説:あなたの健康を損なうおそれがありますので読みすぎに注意しましょう ――――――――――――――――――――――――――――――――――― 大聖堂(ケン・フォレッ

    わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: この本がスゴい2006
  •  命を守る――『精霊の守り人』 - Something Orange

  •  『めくるめく世界』 - Something Orange

  •  『プリズン・ボーイズ』 - Something Orange

    プリズン・ボーイズ―奇跡の作文教室 作者: マークサルツマン,Mark Salzman,三輪妙子出版社/メーカー: 築地書館発売日: 2005/11/01メディア: 単行 クリック: 2回この商品を含むブログ (9件) を見る 「ところで、その子たちはなにをしでかしたんだい? 全員刑務所に送られるんだったら、万引きとかではないだろう?」 「ほとんどの子は187というので起訴されてるんだ」 法執行用語をだれかに披露したかったのだ。 「そりゃなんていう意味だい?」 「殺人だよ」 「わーお!」父は思わず叫んだ。 刑務所に入った経験があるだろうか? ぼくはないし、これからもないよう祈っている。こんなを読んだあとではなおさらだ。 『プリズン・ボーイズ』。このタイトルからだけでも、書が少年刑務所を舞台にしていることはわかるだろう。 書き手はマーク・サルツマンという作家。その作品はピュリツァー賞の

     『プリズン・ボーイズ』 - Something Orange
  • 書評 - 太陽の簒奪者 & 沈黙のフライバイ : 404 Blog Not Found

    2007年06月01日14:30 カテゴリ書評/画評/品評 書評 - 太陽の簒奪者 & 沈黙のフライバイ ハードSF2.0。 沈黙のフライバイ 野尻抱介 太陽の簒奪者 野尻抱介 野尻抱介を一言で表すと、そうなるのではないか。 ただし、私はまだ書「太陽の簒奪者」と、「沈黙のフライバイ」しか読んでいないので、野尻抱介のもう半分でもあるライトノヴェル作家としての側面をまるで知らないのだけど。 長編「太陽の簒奪者」も、短編「沈黙のフライバイ」も、どちらもSFの基テーマ、異星人との邂逅を描いている。面白いことに、ハードでもソフトでも大人気のこのテーマ、ソフトの方だと「エイリアン」にしろ「インディペンデンス・デイ」にしろ、異星人は敵対的なものが多いのに、ハードの方だと「竜の卵」にしろ「ディアスポラ」にしろ、友好的なものが多い。 それがなぜかと考えると、「誰が主人公か」という点につきると思う。ソフト

    書評 - 太陽の簒奪者 & 沈黙のフライバイ : 404 Blog Not Found
  •  幻視家タニス・リー - Something Orange

    ある夜、闇の公子のひとりである妖魔の王アズュラーンは、興に任せて大いなる黒鷲の姿をとった。巨大な翼を羽搏いて東へ西へと飛翔した。北へ南へ、世界の四隅へ。その頃、世界は平らかで、混沌の海に浮かんでいたのだ。 ――『闇の公子』 来たる四月、タニス・リーのSF長編『銀色の恋人』が復刊するらしい。まずはめでたい。 リーは現代最高の幻視作家であり、神に選ばれた「語り部」である。その想像力はたやすく時代を超越し、「地球が平らかなりし頃」へと飛ぶ。 同じ頃、はるかに凡庸な作家たちが、光と闇のたたかいだの、遍歴の勇者だのを描いていたのに対し、リーは遥かに昏く妖しい物語を、彼女一流の皮肉と諧謔をこめて語った。 『銀色の恋人』そのものはセンチメンタルな恋愛物語であるが、やはり、彼女の領は妖美な幻想小説にあると思う。 たとえば『死の王』は、両性具有の美青年シミュと、不死身の魔術師ジレクの愛とたたかいを、闇の公

     幻視家タニス・リー - Something Orange
  •  『読書会』 - Something Orange

    読書会 作者: 山田正紀,笠井潔,萩尾望都,恩田陸出版社/メーカー: 徳間書店発売日: 2007/01メディア: 単行購入: 1人 クリック: 34回この商品を含むブログ (46件) を見る もし、この世に、を読むこと以上のたのしみがあるとすれば、それは読み終えたについて語りあうことだろう。 書『読書会』は、その名の通り、作家山田正紀と恩田陸が過去の名作について語りたおした一冊。 取り上げられる作品はSF小説が中心で、『石の血脈』、『ゲド戦記』、『神狩り』、『バルバラ異界』など、錚々たるタイトルが並ぶ。 しかも、今回の論者はふたりとも現役の作家であるから、ただ名作に感嘆しているだけでは済まない。 時に話は作家の内面にまで及び、「もしわたしが書くのだったら」と興味深い仮定で話を進めることも少なくない。ぼくはおもしろく読んだ。 ただ、そこで気になるのは、ぼく以外のひとがどのように読むか

     『読書会』 - Something Orange
  • http://d.hatena.ne.jp/miyakichi/20070511

  • みやきち日記

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    ハリイカの焼売と中華炒め ハリイカをよく、見かけるようになりましたよ。生け簀で、泳いでいたものを一杯購入しました 立派な大きな墨袋や肝は冷凍保存して 柔らかな身は季節のお豆、お野菜と合わせて中華の炒めものに。新鮮なにんにくの茎は刻み、香り高く欲そそられますね 下足はミンチにし…

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  • 第16回三島由紀夫賞選評 「阿修羅ガール」を推す 筒井康隆