彼女がSCRAPを辞めると切り出したのは今年の初めくらいだったと思う。 事務所の近くの中華料理屋で僕と飯田君と彼女の三人で話した。 ささやかな理由とささやかな覚悟がそこにあって、僕は止めたりなんかまったくしなかった。 それはとても素敵な理由だったから、それを支えようとだけ思った。 彼女と初めて会ったのは5年くらい前になるのかな。 なんだかおっとりとした空気を纏った人だと思った。 人懐っこくて、融通が利いて、味方になりたい人の味方になる人だと思った。 そして、彼女が僕らの味方であることは一目でわかった。 彼女のおかげで3年前の公演(終わらない学級会、図工室からの脱出)は問題なく終わった。 打ち上げの場所で彼女は「とても楽しそうに働いてて良いですね」と僕に言った。 僕はげらげら笑いながら「一瞬先はわからないけれど、とにかく今は楽しいね」といった。 いろいろあって、彼女がSCRAPに入ることにな