現在の中国経済は、安定成長への移行局面にある 最近、「今後の中国経済についてどう考えるか」という質問を受けることが多い。そこで、ここでは、筆者なりの今後の中国経済についての考え方を整理したい。 まず、中長期的な中国経済の発展段階は、「現在の中国経済は、安定成長(=低成長)への移行局面にある」ということだと考える。中国国家統計局によれば、2011年時点の中国の1人当たりGDPは、3万5,181元(世界銀行のドル換算値では5,447ドル)で、これは中所得国の上位に位置するレベルである。そして、この1人当たりGDPの拡大ペースを高度経済成長期の日本と比較すると、ちょうど1972年頃の状況と重なる。 日本で「1972年」といえば、1971年8月15日のニクソンショックを受けて、為替市場が固定相場制から変動相場制に変わった局面である。当時、日本国内では、田中角栄首相(当時)による「日本列島改造論」の