「交通事故で足を骨折したんだけど、気付かなくて立ち上がろうとした」「火のついた割り箸を握って母親に見せたら、びっくりされた」次々と語られる信じがたいエピソード。しかし取材を進めると“痛みを感じない”“暑い寒いがわからない”こうした人たちに何人も出会いました。命の危険にもつながる感覚が鈍い人たち「感覚鈍麻」(かんかくどんま)の知られざる実態です。(科学文化部記者 池端玲佳) 笑顔で自宅に迎えてくれたのは札幌市に住む菊地啓子さん。冒頭のエピソードを語ってくれた女性です。体の痛みを感じにくい「感覚鈍麻」に悩まされてきたといいます。 「たとえば、どんな痛みに気付かないんですか?」と尋ねた私に見せてくれた写真。目の周り全体が紫色になっている、見るからに痛々しい打ち身でした。 電柱にうっかりぶつかったときにできたそうですが痛みを全く感じず、友達に「そのあざ、どうしたの!?」と指摘されて初めて気付いたと