反乱軍によるクーデターにより追い詰められた大統領がロケットで宇宙空間に脱出・・・そんな遠い星でのできごとが、地球の少年たちが部屋の一室で撮影に興じるミニチュア特撮「宇宙大戦争」と同期していく。このマクロとミクロの交錯、そのことで生じる奇跡のようなワンダーこそが、映画ドラえもんの本質である。武田鉄矢が『藤子・F・不二雄大全集』に寄せた文章の中にこんな一節がある。 たとえば、巻き貝と銀河系は、うずの巻き方が同じだということをご存知でしょうか。そこには、ものすごく小さなものとものすごく巨大なものが、なぜか同期している不思議さを感じます。自然界で単独に存在しているものは何ひとつなく、すべてのものが何かと同期したりシンクロしたりしながら宇宙の一部であり続けているのです。そうした自然観や宇宙観がドラえもんの世界にはふさわしいと、いつの頃からか私は考えるようになりました。 まったく痺れてしまう。武田鉄矢