コンピューターウイルスの歴史は2010年代に入って、それまでとは全く異なるステージへと移った。それは、マルウェア「スタックスネット」が産業システムを攻撃した結果、現実社会に物理的な影響を及ぼしたからである。以下では、こうした攻撃の系譜をたどってみる。 ここのところ6月になると、産業システムのセキュリティに関して重要な出来事が起こっている。 例えば、「スタックスネット」(Stuxnet)が発見されたと見なされている日は2010年6月17日である。このマルウェアは重要インフラを標的にした最初のサイバー攻撃の黒幕的存在だった。また、「ハベックス」(Havex)を利用して多数の企業が攻撃されたと報告されたのは2014年6月である。ハベックスはトロイの木馬型マルウェアであり、遠隔操作が可能でISC/SCADA(産業用制御システム/リモート監視・制御システム)からデータを収集した。 より直近では、ES