英国名物パブの地盤沈下が進んでいる。スーパーや小売店の割安なビールに押される構造不況に経済危機が直撃、アルコール増税が追い打ちをかける「三重苦」の状態だ。1日平均6軒が閉鎖に追い込まれる事態に陥り、市民の社交場としての伝統も揺らいでいる。 ◆2万人失職◆ ロンドン市内では週末になると、夕方からビールを手にしたサラリーマンなどがパブ近くの歩道にまであふれる光景が見られる。 だが、国際金融街シティーに近いパブの店主マイク・ハドソンさん(54)の表情はさえない。「金融マンが減ったね。以前は月曜日も夜になれば満員だったのに最近は早めに切り上げる人が多い。今ではご覧の通りさ」。そう言って空席が目立つ店内を指さした。 シティー周辺では大通りを1本外れると、閉鎖されて「貸店舗」の札が掛かるパブが目立つ。数万人が失業した金融危機の爪跡だ。 1980年には英国内に約6万9000軒あったパブも2008年には約