(過去のエントリー) 労働生産性、労働分配率と生活水準に関する考察(1) 労働生産性、労働分配率と生活水準に関する考察(2) 承前。 前回は、実質賃金を決定する原動力である労働分配率を、生産関数アプローチによって分析したが、その結果を簡潔に整理すると次のようになる。 1970年代と比較して労働生産性が伸びなくなったことの主因は、経済成長に占める資本の寄与が縮小したことにある。資本の寄与は、サービス経済化の進展など経済の成熟とともに長期的に低下した。また、デフレ・長期不況下では、実質利子率の高止まりが投資を抑制したと考えられる。 長期不況下においてTFPの寄与がマイナスとなっている。ただし、計測されたTFPは総需要の減少によって低下することも考えられ、「古典派」的な前提に頼り、これを産業構造調整の不良によるものと解釈することが妥当かどうかは現時点で結論づけることはできない。 労働の寄与には、