えらいもん読んでもうた……。 本作は惨劇を描いていますが、「あの時ああしていれば」という要素がほとんど見あたりません。物語の分岐はあるにしても、どのルートを選択したところで結局はバッドエンドにしか到達しないという、経路的に閉塞した世界。後から見返すと、その中で主人公の妹だけが「外」への出方を知っていたようにも思えますが……。 一巻/二巻/三巻で雰囲気がかなり明確に書き分けられていて、禍々しい衝動の裏に練り込まれた部分のある作品だったのな、とは。一巻が静、二巻が動、そして最初の惨事以降、はじめて主人公の「対話」が描かれるようになる三巻。伏線も間違いなく拾い集められていて、作品としては"綺麗に"完結、つまり"閉じて"います。それがまた、「この世界」の閉塞性のひとつの表現になっているように見えました。 春の光が差し込むラストシーンだけは、作品世界が外に開けているように思えます。それでも、「取り返
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