戦後の日本において安全保障の問題はイデオロギー論争と同一であり、憲法9条はもっぱら政治的な視点でのみ議論されてきた。今でもその傾向は大きく変わっていない。 だが、仮に9条が改正され、日本でも戦争遂行が可能ということになるとそうはいかなくなる。軍隊というのはお金のかかるものであり、経済問題と切り離して安全保障を議論することなどできないからである。 現在の日本は大きな経済的課題を抱えているが、戦争を経済の視点で捉えた議論はほとんど行われていない。日本は太平洋戦争という無謀な戦争を行い、国家財政を完全に破たんさせたという恥ずべき過去がある。本当に憲法を改正するつもりがあるのなら、戦争というものに対してもっとリアルな議論が必要なはずだ。 太平洋戦争の戦費は国家予算の280倍? 戦争にはどのくらいのお金がかかるのか? そう聞かれてスラスラと答えられる人はそう多くないだろう。メディアの報道でも経済的な