ブックマーク / www.brh.co.jp (69)

  • RESEARCH 後ろ足の位置の多様性を生み出すしくみ

    1.四肢動物の骨格の基構造 四肢動物には、胴体を貫く背骨(脊椎骨)がある。脊骨は形の違う脊椎骨が首の方から頚椎(けいつい)、胸椎(きょうつい)、腰椎(ようつい)、仙椎(せんつい)、尾椎(びつい)と連なったものである(図1A)。脊椎骨の長さや数は、動物種によって異なるが後ろ足(後肢)の付け根は必ず胴体の終盤にあたる仙骨(仙椎由来)を含む骨盤に接続している。これは、今生きている動物だけでなく既に絶滅してしまった恐竜や首長竜に至るまで、あらゆる動物に共通している(図1B)。つまり、脊椎骨の数や形は進化の過程で大きく変化したにもかかわらず、後肢は例外無く仙椎の位置に形成されるのである。ここで、なぜ後肢は必ず仙骨に隣接する位置にあるのかという問いが生まれる。これは四肢動物の形態形成の際にプロポーションの変化を生む後肢の位置の多様化のしくみを知ることにもつながるはずである。

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    zu2 2022/03/17
  • RESEARCH 持ちつ持たれつの生存戦略

    1.花の形と送粉者 多くの花は外側に開き、さまざまな色や形で昆虫を惹きつける (図1A)。また雄しべと雌しべは同時に成熟し、蜜を求めて花を移動する昆虫たちによって花粉が運ばれ受粉を成功させる。一方、イチジク属植物(イチジク)の花は花のうと呼ばれる袋のような器官の中に咲いており (図1B)、チョウやミツバチなどに花粉を運んでもらうことができない。さらに、同じ花のうの中にある雄しべと雌しべの成熟する時期は完全にずれており、雄花と雌花を別々の時期に咲かせる。このように閉じた空間に花を咲かせるイチジクは、花のうの中に入ることができる特定のコバチのみを送粉者とする (図1B)。イチジクとコバチの間には密接な共生関係があるのだ。

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    zu2 2022/03/11
  • RESEARCH 植物の毒とチョウの食草転換

    1.チョウと植物の深い関係 地球上に存在する昆虫の過半数は、植物をべる植性昆虫である。昆虫から動いて逃げることができない植物は、天敵が嫌がる化合物や、毒になる化合物をつくり出して身を守っている。多くの場合、植性昆虫は体が小さく限られた解毒能力しかもたないため、ごく一部の植物しかべることができない。 植性昆虫が、それまでべていた植物と異なる種の植物を利用するようになることを「草転換」と呼ぶ。チョウの場合、幼虫がべられる植物は種によって決まっており、草転換は新しい種の登場につながるきっかけになったと考えられている(図1)。 現在のチョウと植物のつながりは、互いに関係しながら進化した結果と解釈されてきた。例えば、新たな植物が誕生して新たな化合物をつくり出しチョウの幼虫にわれるのを防いだとする。しかし時が経てば、その化合物を克服する新たなチョウが登場することがある。するとさらに

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    zu2 2022/03/11
  • Special Story 圧力の変化と微生物

    地球上における生命の歴史をひもといてみると,原初の生命は,太陽から降り注いでいた,強烈な紫外線の届かない深海の底で現れた可能性が考えられる。近年,深海の熱水鉱床において,100℃前後の高温でよく育つ超好熱性古細菌の存在が明らかになり,系統学的な証拠からそれらが原始の生命に極めて近いのではないかと議論されている。 ということは,原初の生命の進化は,高水圧の環境である深海で始まった可能性があり,高圧下での遺伝子の発現の仕組みは,生命の進化のごく初期において獲得されたものと思われる。深海は非常に高い水圧下におかれた低温の暗黒世界であり,こうした環境下では生命進化のスピードも遅く,原初の生命システムの痕跡が残されていると考える人も多い。 私たちは,高水圧下での遺伝子のはたらきを調べることを目的に様々な実験を行なってきた。まず,深海から採った底泥には,大きく分けて2種類の微生物がいることがわかった。

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    zu2 2022/02/17
  • Experiment 原始生命はいかにしてたんぱく質をつくったか?

    生命のさまざまなはたらきにとってなくてはならない物質、たんぱく質。 いったい生命は、いつからどのようにしてたんぱく質を使うようになったのだろうか? 大胆な発想で、たんぱく質合成の起源に迫る渡辺教授の研究。 地球上に生きている生命体は、ごく大まかに言えば、たんぱく質と核酸(DNAやRNA)という2種類の物質でできている。たんぱく質は生命体の形をつくり、その活動に必要な機能を担い、核酸はたんぱく質の生産の情報を担う。 現存の生物では、DNA上の遺伝情報は、まずメッセンジャーRNA(mRNA)という形でRNAに写し取られ、それがたんぱく質のアミノ酸配列へと翻訳される。この「DNA→RNA→たんぱく質」という流れは「セントラル・ドグマ」と呼ばれ、現在の地球上の生物すべてにおける情報発現の基ルールとなっている(図①)。 ところが、最近の研究から、地球上に登場してまもない頃の生命体は、DNAやたんぱ

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    zu2 2022/02/17
  • Research 原始の生命体と地球の姿

    RESEARCH 「環境の時」 原始の生命体と地球の姿 山岸明彦東京薬科大学 生命科学部 分子生命科学専攻 原始の生命体がくらしていた頃の地球環境に近いとされる海底熱水地帯にどんな生きものがくらしているのか。全ての生きものの共通祖先がもっていた遺伝子はどんな環境でくらすのに適していたのか。原始の生命がくらしていた環境を実験室の中につくるなど、進化を実験によって検証することで私たち全生物の共通の祖先の姿とくらしを浮かび上がらせたい。 1.有機物の合成から生命の誕生へ 今から約46億年前、地球は太陽系の他の惑星と共に誕生した。最初の地球は、隕石の衝突によるエネルギーのためにマグマのようなどろどろの状態で、隕石に含まれていた揮発性成分が蒸発してできた原始大気で覆われていたが、宇宙への熱の放出で急速に冷却していった。大気中の水蒸気は液体の水になり、原始大洋ができたと思われる。地球上で最古の岩石(約

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    zu2 2022/02/17
  • TALK 情報と機能をもつ古くからの働き者

    年に一つ、「愛づる」「語る」「観る」と、動詞で選んできた生命誌のテーマは、今年は「関わる」です。「関わる」は、生きていると同じと言ってもよいくらい、生きものにとっては当然のことですが、基を大切にしたいという気持を込めてこれを選びました。 生命体の基単位は細胞で、その中にある膨大な数の分子が関わる仕組みを理解しようとしているのが現代の生物学ですね。細胞というシステムの分子生物学。その中で、義一さんが、ずっと探り続けてこられた分子であるRNAが、思いのほかの多様な活躍をしていることが近年、明らかになり始め、光があたっていますね。 一つひとつの酵素、次いでは、一つひとつの遺伝子を探ることから始まった細胞内分子の生物学でしたが、これからは、すべてが複雑に関わり合う全体として生命現象を観ていかなければなりません。その切り口を探しているのですが、そのためにもRNAを知らなければなりませんね。そこで

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    zu2 2022/02/17
    “研究にはお金は必要ですが、そのために、おかしな目標と期限を約束してしまうのはまずいでしょう。政治家に動かされてしまう。今のこの変化の必要性を政治家が理解するのは無理でしょう”
  • アーカイブ

    季刊「生命誌」 「生きている」を見つめ、「生きる」を考える季刊「生命誌」をホームページで発行しています。 季刊「生命誌」トップ

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    zu2 2022/02/15
  • ゲノムの構造単位

    1、topology associating domain (TAD) 最近、遺伝子の組織や発生時期特異的な発現調節の基構造単位としてtopology associating domain(TAD)と呼ばれる領域に注目が集まっている。ヒトゲノムには約2000のTADが存在すると考えられているが、TADの存在が広く認められるようになったのはつい最近のことだ。TAD概念の確立には、核内で位相的に接して存在しているゲノム領域を特定するchromosome conformation captureと呼ばれる方法の開発が大きく寄与している。一つのTADは平均500kb—1Mb程度の大きさで、その中に1個から複数の細胞特異的、あるいは発生時期特異的に働くcoding遺伝子と、その発現調節(エンハンサー)領域を含む長いDNA単位が大きな塊を作って核内に存在していると考えられる。図1はPopeらの論文(

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    zu2 2022/02/04
  • 植物の香りは誰を誘う?ー植物が結ぶ植食者と寄生バチの関係ー 講師:塩尻かおり(龍谷大学農学部准教授)

    Q1. 卵寄生蜂の誘引物質は何でしょう。 A1. 卵を植物に産んだとき、その卵が落っこちないように接着剤のようなものを植物につけたり、植物に少し傷をつけて埋め込んだりします。そのような化学的な刺激、物理的な刺激を植物が感知し、匂いを放出することが知られています。(JT生命誌研究館の展示に詳しい説明がありました) Q2.  シナモンとレモンとバニラを混ぜると味もコーラになる? A2. 味っていうと、舌で感じていると思われますが、実は鼻で感じる匂いがとても重要です。風邪をひいて鼻がきかないとき、カレーライスをべても、辛いだけで味がしなかったという経験はありませんか? 口の中で揮発性物質(匂い)が鼻の方に行って匂いを受容することで、味のように感じることができます。 みなさんが飲んでいるコーラも実は甘い炭酸水であって、コーラの味っていっているのは、匂いなんです。だから、シナモンとレモンとバニラを

    植物の香りは誰を誘う?ー植物が結ぶ植食者と寄生バチの関係ー 講師:塩尻かおり(龍谷大学農学部准教授)
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    zu2 2022/01/18
  • シロアリはなぜ木だけを食べて生きられるのか(オンラインのみで開催します)

    季刊「生命誌」 「生きている」を見つめ、「生きる」を考える季刊「生命誌」をホームページで発行しています。 季刊「生命誌」トップ

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    zu2 2022/01/18
    “そこで1細胞からでもゲノムを解読できる世界初の技術を開発し、"シロアリの内に原生生物の内に細菌"という「マトリョーシカ人形」のような巧みな共生機構を発見しました”
  • Writingと文明

    前回、Writingが、基的には道具として多くの人が使いやすいように進化し、最終的に最も単純化され、最もフレキシブルだった表音文字アルファベットがほとんどの言語を席巻したこと、しかし、言語自体が持つ文化を担うという役割のため、writingの多様性が維持され現在にいたることをざっと見て来た。 これでいよいよ情報としての文字についての議論は終えるが、最後に文字の機能をたどりながら、Writingと文明や文化の関係を復習するとともに、すこし実証性を犠牲にしても、個人的な考えを積極的に交えて、Writingが文明や文化の発展にどう関わってきたのかを2-3回にわけて考えてみたい。 1、記憶とWriting 音節を用いる言語の誕生から文字の誕生までを考えてみると、ともに私達の記憶の限界を拡大することを1つの目的として生まれてきたことがわかる。既に述べたように、視覚を通して私達にインプットされる情報

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    zu2 2021/03/19
  • 進化研究を覗く

    これまで見て来たように、文字は出版と一体化することでそれまで一部のエリートに独占されていた文化を大衆化する原動力として働いてきた。文字自体はアルファベットが発明され、様々な言語で使いやすく改良されて以来、特に大きな革新はなくなったが、様々な出版の技術革新が起こるたびに大衆化は促進する。中でももっとも大きな転換点になったのがグーテンベルグの印刷術の発明だった。言い換えると出版が機械化され、機械の効率を上げれば出版の効率を高められるというサイクルが完成した。この機械化は出版の中央集権的組織化のを促し、その後出版はビジネスとして利用者を拡大し、そのまま20世紀に至っている。特に20世紀に入って。出版も写真などの新しい情報メディアが取り込まれることで、出版は完全に大衆文化の中心に躍り出る。 しかし、20世紀が終わり21世紀に入るとすこし様相が変わってくる。出版協会が発表している日の出版販売額の推

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    zu2 2021/03/19
  • 文字の機能

    さまざまな文字の歴史をたどってみると2つのことがわかる。まず、Writing systemの進化が、話しことばに使われる音素をそのまま表現できる技術へと進んできたこと。そして、現在でも6000種類存在し、過去にはさらに膨大な数が存在した言語自体と違って、文字の起源はほんの一握りのルーツへと遡れることだ。 現在使われているWriting systemをたどると(図1)、世界で使われているアルファベットや子音アルファベットは全てエジプトのヒエログリフ由来の原カナン文字へと遡れる。実際、漢字を最初writingに用いた中国語、日語、韓国語だけは現在も独自の文字を使っているが、他の言語はローマ字のアルファベットも含めたフェニキア文字由来の子孫に置き換わっているといっていい。ヘブライ語、アラビア語やペルシャ語は一見アルファベットとかけ離れた文字で、表子音文字だが、既に説明したように全て原カナン文字

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    zu2 2021/03/19
  • 表意文字から音節表記文字へ

    すでに、トークン、pictogram(絵文字)からlogogram(表意文字)と文字が進展する過程を見て来た。今回から文字によるWritingがsyllabogram (音節表記文字)、そしてphnogram(表音文字)へと進展する過程を、メソポタミアの楔形文字や、エジプトのヒエログラフを題材に見ていこうと思っている。重要なことは、これらのWritingは既に滅びた文字で、近代に入ってもう一度解読された点だ。そこで、題に入る前に、古代文字がどのように解読されたのかを有名なシャンポリオンの例で見てみよう。ただこの分野についての私の知識は以前紹介したWritingについて書かれた何冊かの(例えばBary Powellの著書:http://www.brh.co.jp/communication/shinka/2018/post_000010.html)や、図1に示すようなヒエログリフの読み方

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    zu2 2021/03/19
  • アルファベット誕生前夜

    繰り返しになるが、日語のWritingは、絵文字(pictogram)を下敷きに抽象化されて生まれた中国由来の表意文字(logogram)漢字をそのまま使い、この漢字から音だけを取り出すrebusという手法を用いた万葉仮名を表音節文字(syllabogram)としてまず開発したあと、そこからさらに我が国独自の2種類の音節文字、仮名を発展させ、最終的に漢字と仮名の両方を用いるlogosyllabaryと呼ばれるシステムを完成させた。そしてこのlogosyllabary体系は既に1000年以上使われている。 日人にとってこの歴史は何の不思議もないことだが、他の言語の文字の歴史を考えると、logosyllabaryが使われていること自体、まさに奇跡と言っていいように思う。しかし、日語がこのシステムを維持できたおかげで、今やアルファベットやアラビア数字など、便利と思える表記体系は全て統合でき

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    zu2 2021/03/19
  • フェニキアとギリシャ

    前回、楔形文字による表音節文字(syllabary)が、多くの文化が交わる国際都市ウガリットで30種類のサインに整理されたウガリット文字へと発展したことを紹介した。前回の記事を開いてもう一度ウガリットのアルファベットを見て欲しい。最初の’aに相当する文字を除外すると、全てが子音である事に気付かれるだろう。現在は誰も使っていない、遠い過去のウガリット文字が、当に子音だけを表現しているのかなぜわかるのかと訝しく思われるはずだ。日の仮名のようなsyllabogramと考えてはなぜだめなのか? 文字が子音だけで書かれたとすると、正確に読むことは出来るのか? など疑問は尽きない。 実際には、ウガリット文字には子音に対応するサインしかなかったことを疑う人はいない。というのも、この文字に多くの親戚があり、それらは同じように子音を示すサインだけを使っている。また現在でも子音だけから出来た文字を使ってい

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    zu2 2021/03/18
  • SPECIAL STORY 物理に宿る 生命の紡ぐ物理学

    1.生き生きしたカオス 僕の専門は理論生物物理学です。大学入学は1974年で、自然の論理を明らかにする物理が好きで物理学科に進学しましたが、物理によって生きている状態を理解できないかなあと漠然と考えていました。例えばシュレディンガーの『生命とは何か』には、非平衡状態であることの重要性が述べられていましたが、この問題にどのように取り組んだらよいのか具体的な方策はありませんでした。生物物理の最初の授業で、江橋節郎先生が「生物物理には理論なんてありません、実験だけです」とおっしゃって、実験が苦手な僕は大層悲しい思いをしました。ただ、その当時、ノーベル化学賞を受賞したプリゴジンが、非平衡状態の散逸構造で生命を理解しようという学問の流れを主導していて、僕もその影響を受けて、非平衡熱力学と統計力学の研究室へ進み、そこから生物に挑もうと思っていました。しかし始めていくと、非平衡状態の理解が生命の質につ

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    zu2 2021/01/14
  • SPECIAL STORY 21世紀の比較発生学的世界観

    1.自分にとっての不思議 僕の研究は、自分にとっての不思議は何か、どのような問いを自分がもっているのかを常に起点としています。例えば「ゴジラはどこから来たのか?」という問いも含めて、一体これは何? どうしてこうなっているの? とこれまで色々な謎を解き明かしました。そういうわけで、主に顎の獲得とカメの甲の進化、最近ではヌタウナギの発生を研究してきたわけです。 生命活動を司る一般原理というよりも、博物学的な問いといえます。形態進化学として、顎やカメの甲羅はどうやってできたのか。その個別のトリックをとにかく知りたい。それがどんなに不思議な進化のように見えても、この世には魔法はないのです。それは精々手品のようなもので、そこにトリックがあるからこそ、どのような細胞の動きや組織の成長によってこの新しい形態ができたのかがわかる。カメが甲羅をもつという進化は一見不可能に思えるけど、実は可能だったんだと納得

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    zu2 2021/01/14
  • RESEARCH 歴誌を見つめて ―中立進化からヤポネシアまで

    この理論に導かれてアメリカのテキサス大学に留学し、根井正利教授の研究室で「近隣結合法」という解析法を開発しました。DNA分子間の進化距離や生物集団間の進化距離に着目し、そこから系統関係を推定する方法です。1980年代に開発した解析法ですが、膨大なDNAデータからきわめて短時間で妥当な進化系統樹を描く方法として、現在でもひろく世界中で使われています。 今では私が日で最も極端な中立進化論者です。中立進化は、私にとっては当たり前ですね。すべてにおいて偶然が大切なのです。宇宙だって量子ゆらぎから生じたものであることを考えると、人間、生命、宇宙はすべて偶然の発展としてつながってくる。自然を知るには、偶然の積み重ねとしての歴史を客観的に記すことが大事だというのが、私の一貫した考えです。とくに人間の文字記録としての「歴史」だけでなく、宇宙と生命の歴史を包括して考えたいという思いから、私はhistory

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    zu2 2021/01/14
    “ヤポネシアゲノムのプロジェクトでは、沖縄言語研究センターの狩俣繁久先生と生物学のポスドクが一緒になって、いろいろなソフトウエアを使って言語データを解析しています”