ブックマーク / www.iwanamishinsho80.com (6)

  • 安倍元総理の国葬と法の支配(大浜啓吉)

    ◆問題の所在 安倍晋三元総理が凶弾に倒れたのは、2022年7月8日であった。岸田文雄総理大臣は、14日には同年秋に政府主催の国葬を行うことを明らかにし、国葬の費用は全額国費で賄う予定であるとした。7月22日には、「故安倍晋三国葬儀」の名称で、無宗教の形式で国葬を行うことを閣議決定した。 日国憲法の下では国葬についての法律はない。そこで、官邸幹部らは内閣法制局と協議を重ねた結果、①国葬の実施は、憲法65条「行政権は、内閣に属する」との解釈を前提にして、②内閣府設置法4条3項33号「国の儀式並びに内閣の行う儀式及び行事に関する事務に関すること(他省の所掌に属するものを除く。)」を根拠としている。稿では、まず憲法65条と内閣府設置法(以下、「内府法」と略称する)4条3項33号が法的根拠となり得るかを検討しておく。 ◆国葬の法的根拠 第一に、憲法65条は国葬を実施する根拠法にはならない。行政権

    安倍元総理の国葬と法の支配(大浜啓吉)
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    zu2 2022/09/25
    “根拠となる「国葬法」がなければ、行政組織法があることを理由に国葬を実施することはできない”
  • 在野に学問あり 第7回 山下ゆさん

    この連載は在野で学問に関わる人々を応援するものだ。 第7回は、ブロガーの山下ゆさんに話を聞く。新書ブログ「山下ゆの新書ランキング」は、新書業界においては知らぬものがいない。まさに「新書の目利き」として知られている人物だ。かく言う私も、屋に行った時に「この、そういえば山下ゆさんが9点って言ってたなぁ」と、新書を買ったことが何度もある。 ブログは2005年2月から、2022年現在まで週に1のペースで更新されている。政治経済や思想、歴史に関する新書から1冊を取り上げ、山下さん自身による10点満点の採点と、5000字以上にも及ぶ新書の丁寧な要約と書評を掲載する。 プロフィールの欄には「通勤途中に新書を読んでいる社会科の教員です」とある。 在野研究を考える上で、教員の存在は重要だ。例えば郷土史や生物分類学・生態学の分野では、地元で働く先生たちが研究者となり、大学や博物館と連携しながら、その一端

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    zu2 2022/08/20
  • ウクライナ侵略のゆくえを考える(大木毅)

    ロシアウクライナ侵略がはじまってから3か月余を経た。この間、今回の戦争とかつての独ソ戦に類似性を見て取ったためか、拙著『独ソ戦 絶滅戦争の惨禍』(岩波新書)をお読みくださった方も少なくないと聞く。また、筆者はさきに、2月の開戦から3月末までの展開について、用兵思想と戦史・軍事史から観察・分析した論考「軍事的合理性と政治的超越」を発表した(「世界」臨時増刊『ウクライナ侵略戦争』所収)。日ではあまり見かけない視角であったためか、過分の評価をいただいたようだ。そこで、今回寄稿の機会を得たのを幸い、同様の視角から、4月以降のウクライナ侵略の経緯を分析し、今後起こり得ることについて――それは憂な予測にならざるを得ないのであるが――検討を試みることにしたい。 ロシア軍攻勢規模の縮小 不可解なことに、ロシア軍は開戦当初、重点形成を行わないまま、多正面からの平押しに終始した。その理由はなお判然としな

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    zu2 2022/06/12
  • 『ユーゴスラヴィア現代史 新版』によせて

    山崎信一・鈴木健太 ※8月27日に刊行となった『ユーゴスラヴィア現代史 新版』。歴史学の名著として知られた旧版を改訂するさなかに、著者・柴宜弘さんが急逝されました。その思いを引き継いで出版作業にあたられた山崎信一さん、鈴木健太さんに、書の意義をご執筆いただきました。 柴宜弘著『ユーゴスラヴィア現代史 新版』が、このたび無事に刊行の運びとなった。来であれば、著者自身がその紹介にあたるところであろうが、著者の柴先生は、残念ながら年5月28日に急逝された。1996年に岩波新書の一冊として、『ユーゴスラヴィア現代史』(以下、「初版」)が出版されてから25年を経て、今回「新版」の刊行に至った詳しい経緯、かつてのゼミ生が校正を引き継いだ経緯などは、「新版」巻末の追記に記されているので、詳しくはそちらをご覧頂ければと思う。ここでは、紙幅の関係もあり追記において触れることのできなかった点、すなわち

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    zu2 2022/01/13
  • 知る人ぞ知る名著『伝わる英語表現法』

    田中健一 ※「これで英語がペラペラに!」「これを読めばTOEIC●●●点間違いなし!」――こんな広告や売り文句がいたるところで目に飛び込んできます。でも、結局は「どうしたらいいか分かんない!」となりがちです。そしてそんなときこそ、定評のある学習法に立ち返るのが最適です。2001年に刊行され英作文学習の名著として評価されてきたものの長く品切れとなっていた長部三郎『伝わる英語表現法』が、今月遂に復刊します。その魅力を、英語講師の田中健一さんに紹介していただきました。 [追記]書の復刊は、発表された時からTwitterで話題となり、なんと復刊となった当日(8月20日)に、早くも更なる重版が決まりました。 ■英作文学習に最適な教材 10年ほど前の夏のことでした。 「先生、このどうですか。父の書斎で見つけたのですが」 京都大学志望の男子生徒(その後、見事に合格しました)が、私の出講する予備校の講

    知る人ぞ知る名著『伝わる英語表現法』
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    zu2 2021/08/23
  • 藤原辰史:パンデミックを生きる指針——歴史研究のアプローチ

    人間という頭でっかちな動物は、目の前の輪郭のはっきりした危機よりも、遠くの輪郭のぼやけた希望にすがりたくなる癖がある。だから、自分はきっとウイルスに感染しない、自分はそれによって死なない、職場や学校は閉鎖しない、あの国の致死率はこの国ではありえない、と多くの人たちが楽観しがちである。私もまた、その傾向を持つ人間のひとりである。 甚大な危機に接して、ほぼすべての人びとが思考の限界に突き当たる。だから、楽観主義に依りすがり現実から逃避してしまう——日は感染者と死亡者が少ない。日は医療が発達している。子どもや若い人はかかりにくい。1、2週間が拡大か制圧かの境目だ。2週間後が瀬戸際だ。3週間後が分水嶺だ。一年もあれば五輪開催は大丈夫だ。100人に4人の中には入らないだろう。そう思いたくなっても不思議ではない。希望はいつしか根拠のない確信と成り果てる。第一次世界大戦は1914年の夏に始まり191

    藤原辰史:パンデミックを生きる指針——歴史研究のアプローチ
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    zu2 2020/04/06
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