宮内庁の羽毛田信吾長官が野田佳彦首相に皇室典範が抱える課題を伝えたのは、皇室のことを預かる身として当然の務めだ。典範は、皇族女性は皇族以外と結婚した場合、皇室を離れると定めており、皇位の安定的継承の上で大きな問題をはらんでいることははっきりしている。今後は、この課題に内閣がどう対応するかが問題となる。 現在の皇室は、天皇陛下と22人の皇族で構成されている。このうち、未婚女性は8人。天皇陛下の孫の眞子さまが先月成人するなど多くが結婚適齢期を迎えている。 また、陛下を除いて現在7人の男性皇族のうち4人が60歳を超えており、皇位継承3位の秋篠宮ご夫妻の長男悠仁さま(5)が結婚する頃には、皇族の数が極端に減っている可能性も否定できない。皇室全体の活動が制約を受けることも懸念される。 小泉政権当時の05年11月、首相の私的諮問機関「皇室典範に関する有識者会議」は、継承順位を「長子優先」とした上で女性