東京高裁の平田豊裁判長は旧優生保護法訴訟の判決理由の説明後、原告の北三郎さん(78)=仮名=に「手術により、子をもうけることのできない身体にされたが、決して人としての価値が低くなったものでも、幸福になる権利を失ったわけでもありません」と語り掛けた。こうした所感が法廷で述べられるのは異例だ。 平田裁判長は「差別のない社会をつくっていくのは、国はもちろん、社会全体の責任であると考えます。そのためにも、手術から長い期間がたった後の訴えであっても、その間に事情が認められる以上、国の責任を不問に付すのは相当ではないと考えました」と結んだ。